※この日誌を読む前に、前回の二十四頁を御覧になってから読む事をオススメいたします。


(by天狐より♬) 




 天「さっきは強すぎる神様について紹介したけど、神様と敵対する怪物達には、神をも凌ぐ奴らがいるんだけど、ツッチーは知ってるかな?」

 ツ「有名なやつだと、フェンリルくらいしか知りませんね。」

 天「確かにフェンリルは有名な神殺しだね。だけどそれ以外にも、怪物や悪神にはまさに規格外な力があることが多いんだ。」

 ツ「そんなのがいたら怖くてしょうがないんですけど、、、。」

 天「まぁまぁ、とりあえずどんな奴らか見てみようじゃないか。」


 破壊神を足蹴に! カーリー

 天「さて、最初に紹介する怪物、、、いや悪神は、インド神話内最凶の鬼嫁カーリーだ。」


 ツ「何ですかこの禍々しい女性は?」 

 天「カーリーは前の頁で紹介した破壊神シヴァの妻の一人で血と殺戮を好む戦いの女神だ。

 シヴァには妻が3人〘正確には一人が感情を変えるたびに人格が変わる〙いるんだけど、その中でも最強と呼ばれているんだ。」

 ツ「好みが物騒ですね。ただまあ、、、強いのはわかります。」

 天「見た目でなんとなく逆らっちゃいけない感じがするからね。

 カーリーは全身が青みががった黒色3つの目4本の腕を持ち、それぞれに刀剣型武器、三叉戟、切り取った生首、生首の血を受ける頭蓋骨を持っているんだ。

 アクセサリーには生首または頭蓋骨のネックレスと切り取った手足で作った帯を使っているんだ。

 こんな見た目からわかるかもしれないけど、神様ってよりかは悪魔や怪物とする人も多いんだ。」

 ツ「確かに神様よりかは鬼婆に近いかも、、。」

 天「とまぁ、見ての通り全身から殺戮大好きオーラ全開のカーリーは、勿論凄まじい戦闘力を持っているよ。」

 ツ「強そうって感じじゃなくて『気に入らなきゃ⚪す!』って感じですけどね。」

 天「じゃあ、そんなカーリーの恐怖エピソードをご覧あれ!」


 カーリーの最凶エピソード
 
 天「彼女は軍勢を率いたアスラ神族を瞬殺し、二人の指揮官の首を自分を生み出した女神に捧げる程の実力を誇るんだ。」

 ツ「神様の軍勢ってそんなに簡単に倒せませんよね?しかも、アスラ神族って日本の阿修羅の原型だったはず、、、仮にも闘神の一族を瞬殺ですか、、、」

 天「神様や神獣、天使なんかが含まれるのがアスラ神族だからね。彼女でなければ神々でも苦戦するのは間違いない位の実力者揃いなんだ。

 まぁ、カーリーにとっては造作も無い相手だったみたいだけどね、、、。」

 ツ「あっさり消されていい種族ではないですね。」

 天「その後も同神族で血から分身を作り出す者とも戦ったんだけど、カーリーは口を開けて分身や滴る血を全て飲み干し、最終的には本体の血も飲み干す事で勝利をしているんだ。」

 ツ「分身されたら困るからって、飲む発想に辿り着きますかね普通、、、。」

 天「カーリーには『普通』は存在しない。勝つためなら血を啜りきるのも迷わないんだ。

 更に恐ろしいのは、彼女が破壊衝動を解き放てば、何人たりとも止められない所だね。」

 ツ「素の戦闘力が高いんですから、止めようがないでしょうね。」

 天「多分ツッチーや読者の思っている数倍は凄いと思うよ?

 何せ破壊神シヴァですら止められないんだから。」

 ツ「シヴァさん、、、破壊神の威厳がどんどんなくなっていきますね、、、。」

 天「カーリーが勝利の舞踏を踊り始めると、そのあまりの激しさから大地が粉々になりそうになってしまったんだ。

 しかもカーリーを物理的に止める事が誰も出来ず、彼女が落ち着くまでの間シヴァは自分が踏みつけられる事で大地への衝撃を和らげていたんだよ。」

 天「どれだけ激しく舞ったんですかね?舞で宇宙を破壊するシヴァを足蹴にするなんて、とんでもない力です。」

 天「ホントにね、、、もう離婚した方がいいと思うよ。

 だけどこのシヴァの身を挺した行動で世界の破壊が食い止められ、しばらくするとカーリーも正気に戻ったんだ。その際自分が旦那であるシヴァを足蹴にしていたことに気付くと、カーリーは長い舌をペロリと出していたんだ。」

 ツ「テヘペロでは済まないでしょ!しかもそんな昔に存在していた事にビックリです。」

 天「これがいわゆる『ギャップ萌え』ってやつかな?」

 ツ「ギャップが強すぎますよ。」

 天「カーリーの絵画はこのテヘペロな姿がほとんどで、人々からその強さと豊穣性を信仰されているんだよ。」

 ツ「シヴァが体保つかどうか心配です、、、。」

 天「インド神話は他の神話より戦闘力高めだけど、カーリーはその中でも群を抜いているね。

 しかも、その強さにあやかってか16世紀頃にカーリーを信仰する殺戮集団サギーがインドのデカン高原辺りで誕生し、カーリーに血を捧げる名目で活動していたんだ。

 19世紀頃に組織が壊滅するまでに200万人もの犠牲者を出したそうだよ。」

 ツ「やばすぎる信仰宗教ですね、壊滅して良かったです。」

 天「現実にまで影響を及ぼす最凶鬼嫁、カーリーでした。」


 •全知全能の神すら倒した! ギリシャ神話最強の怪物 テュポーン

 天「続いての怪物は、あのゼウス様に唯一勝利した怪物の王、テュポーンだ。」


 ツ「全知全能の神に勝つなんて信じられませんね。」

 天「確かに、様々な武器で固めたゼウス様が負けるとは思えないよね。でも、ゼウス様はかつてテュポーンと二度戦い、一度敗北、二回目も一人では勝てなかった程、戦闘力は高いんだ。」

 ツ「なんでそんなに強いんですか?」

 天「それは、テュポーンを生み出した女神もまた最強クラスのチート神だからだったんだ。

 じゃあ、その辺りの解説をしていこうか。」

 
 テュポーン最強エピソード

 天「テュポーンはギリシャ神話最強の怪物で、母親は大地を生み出した女神ガイア、父親は奈落そのものを司るタルタロスという超サラブレッド神なんだ。

 その姿は上半身は人間、下半身は巨大な蛇、更には肩から火を吐く100匹の蛇が生えている。

 おまけにあの世界蛇ヨルムンガンドに引けを取らない巨大で、なんと身長は空の星々を掠める程大きく、両手を広げれば東西の端に手が届くと言われているんだ。」

 ツ「もう、戦いになるかどうかも怪しいんですけど、、、。」

 天「おまけに大嵐を操る事が出来るから、まさに存在自体が災害と言えるだろうね。」

 ツ「私ならすぐ逃げますね。勝てる勝てないじゃ無くて、もう戦いにならないですよ。」

 天「僕もかなw なんでこんな奴をガイアが生み出したのかと言うと、〘ゼウス様がガイアの息子を大切にしなかったから〙と怒ったからなんだ。」

 ツ「どういう事ですか?」

 天「実はガイアの息子世代と孫世代は世界を巻き込んだ戦争を起こしていたんだ。

 テュポーンは調子に乗っているゼウス様を諌め、戦争を終わらせる為に生み出されたという訳なんだよ。」

 ツ「以外とマトモな理由ですね。」

 天「またテュポーンは、自分の妻のエキドナという半人半蛇の美女と沢山の子供を作ったんだ。

 ケルベロス、ヒュドラ、スフィンクス、キマイラ等々、、、テュポーンはギリシャ神話に出てくる怪物達の父親でもあるんだ。」

 ツ「全部大御所ばかり!スフィンクスがギリシャ神話に出てくるのはビックリですけどね。」

 天「テュポーンは怪物の子供達を引き連れて、ガイアの願い通りゼウス様達を倒すべく、オリュンポス山ヘ向かったんだ。

 彼らがオリュンポス山に押し寄せて来たとき、あまりの恐ろしさから、ギリシャの神様達は皆エジプトに逃げ込んだらしい。だからスフィンクスなんかがエジプト神話に登場するようになったのかもね。」

 ツ「そりゃあ、上みたいな奴が来たら分からなくはないですね。」

 天「しかし、唯一人ゼウス様だけがその場に踏みとどまり、激しいバトルを繰り広げる事になった。」

 ツ「流石は全知全能の神ですね。威厳が違います。」

 天「ゼウス様が放つ雷霆ケラウノスと、テュポーンが吐く炎で天地が煮え滾り、大地は炎上。

 最強vs最強の戦いははた迷惑極まりないレベルで続いていく。」

 ツ「地獄みたいな光景だったんでしょうね、、、。」

 ツ「凄まじい死闘の末、ゼウス様は手足の腱と雷霆、アダマスの鎌を奪われ、洞窟に閉じ込められてしまったんだ。」

 ツ「天狗になっていた鼻をへし折られた訳ですね。しかし、全知全能の神であるゼウスでさえ歯が立たないとは、とんでもない奴をガイアは生み出したんですね。」

 天「ゼウス様の敗北を知ったゼウスの子ヘルメスパンは、なんとかゼウス様を救出し手足の腱を治療したんだ。

 そして、ゼウスとテュポーンは再び戦いを始めた。

 このときテュポーンはゼウス様に勝つために運命の女神を脅し、絶対に望みが叶うという〘勝利の果実〙を奪い食べていたんだ。」

 ツ「ただでさえ強いのに、勝利まで確定してたら勝ち目ないじゃないですか。」

 天「しかし、運はゼウス様に味方したんだよ。運命の女神達は決して望みが叶わなくなる〘無常の果実〙を勝利の果実として食べさせるというファインプレーを見せた。」

 ツ「これはナイス判断ですね。」 

 天「そしてテュポーンはその強大な力を失う事になり、ゼウス様によってトラキア山に封印されたんだけど、力を失ってなおゼウス様含め複数の神々によってなんとか封印に成功したそうだよ。」

 ツ「力を失ってもゼウスより強かったんですね、、、。」

 天「〘最強の怪物にどう勝つか〙に注目すると、また神話が面白く見られるんじゃないかな。

 最後まで最強の怪物の意地を見せつけた災害級のモンスター、テュポーンでした。」


 •頭突きで世界を崩壊! 共工

 天「続いての怪物は、なんと天を支える柱を頭突きで破壊したと言われている中国神話最強の洪水神共工だ。」

 ツ「共工ですか?聞いたことないですね。」

 天「あまり聞かない名前の神様だと思うよ。かなりマイナーだからね。

 共工は中国神話の古い神の一人で、火の神の一族と記されていたりするんだけど、なんと洪水の神として司馬遷の歴史書の『史記』に登場するという、めちゃくちゃややこしい神なんだ。」

 ツ「つまり、火と水の両方の性質を持つんですね?」

 天「かもしれないね。元々共工は『四罪』と呼ばれる中国の極悪四人衆の内の一人で、他の3人は驩兜、三苗、コン〘魚編に系〙という人物達。

 だけどこの3人はあくまで主君を裏切った『人』あるいは『人に近い悪神』であるのに対し、共工だけは恐ろしい怪物の姿をしているんだ。」

 ツ「なんでですか?」

 天「そのへんは良くわかってないんだ。ただし、他の3人に比べても共工は恐ろしい力を秘めているんだよ。

 早速見てみよう。」


 •共工の最強エピソード

 天「共工は蛇の体人の顔を持ち、神話にはしょっちゅう出てきてはその度に皇帝の座をめぐって大戦争を巻き起こしているんだ。

 勿論性格は戦いを好み、よく人を襲う残忍な性格でその力は山を削り切る怪力を持っているとされているね。」

 ツ「今までのより、なんかパンチが足りませんね。」

 天「とある地方の言い伝えによると、中国で人類の始祖とされる女神「女媧」と男性神「伏羲」を巻き込んだ大洪水を起こしたのが共工だと伝わっている。

 そのエピソードから「洪水」という文字の起源になったと言われているんだよ。」

 ツ「確かに字が似てますね」

 天「そんな共工が弱い訳もなく、天下の覇権を握ろうと反乱を起こすも失敗。天を支える柱に頭突きを食らわせてへし折るという八つ当たりをしたんだ。

 そのせいで天は破れ、世界が崩壊しそうになった。

 勿論そのままでは世界が壊れてしまうから女媧が巨大な亀の足を支えに直したそうだ。」

 ツ「頭突きの威力が高すぎです、、、。でも、もうちょい直す材料はこだわって欲しい所です。」

 天「また、これとは別に天の柱を破壊する話もある。

 皇帝の地位をめぐって顓頊(センギョク)と戦ったとき、天を支える柱をうっかり破壊、地を支える紐を切ってしまったんだ。

 そのせいで天地は西北に傾き、大地は東西に傾いた。太陽や月、星がどれも東から西に落ち、中国の大河が全て西から東に流れるのはそのせいだと言われているんだよ。」

 ツ「うっかりぶつかっただけで天を支える柱を壊すのは凄いです。しかも未だにそのままなのが厄介ですね。」

 天「もし共工が本気だったら、人類は為すすべが無いだろうね。

 でも、文字通り世界を揺るがす凶神だとしても勢力が取って代わることを表してるのかも。

 皇帝になろうとした厄災の化身、共工でした。」

 

 •主神を一飲み! 巨大狼フェンリル


 天「続いて紹介するのは、今流行りの異世界転生ものなんかで大活躍している最強の狼フェンリルだ。」



 ツ「やっぱり神殺しと言えばフェンリルは外せません!」

 天「確かにほとんどのゲームに出てくる程有名なフェンリルだけど、当然凄まじい力を持っているよ。

 早速見てみよう、、、。」


 •フェンリルの最強エピソード

 天「フェンリルが登場するのは北欧神話。フェンリルは、主神オーディンと敵対する存在だったんだ。

 神々に敵対する存在は大体ドラゴン、蛇なんかだけど、フェンリルは灰色の狼。

 おまけに口を開けると上顎が天に、下顎が地に付くと言われるくらい巨大なんだ。

 ツ「やっぱりどの怪物もかなり大きいのが多いですね、。」

 天「きっと神々に対抗するために巨大な体と圧倒的な力が必要だったんだね。

 長いこと封印されていたんだけど、神vs異種族の大戦争ラグナロクのときに自らにかけられた魔法の縄グレイプニルを引きちぎって暴れだすと言われている。」

 ツ「確か、とても複雑な出自を持ってるんですよね?」

 天「よく知ってるね。そう、フェンリルはとても複雑で可哀想な出自を持っている。

 フェンリルの父親は悪神ロキ。ロキはフェンリルが生まれた後オーディンが属するアース神族に加わるんだけど、その子であるフェンリルは『神々に災いを齎す』と恐れられ罠にかけられた囚われてしまったんだ。

 神話に描かれたその時のやり取りを見ると、アース神族が予言を信じて一方的にフェンリルを恐れて封印しようとしている事が分かるよ。」

 ツ「つまり、フェンリルはその時点では神々に危害を加えようとしていないって事ですか!?」

 天「そう、それなのに罠にかけられ、世界の終末まで封印されたんだから恨みを募らせても当然だよね。」

 ツ「これは神々が問題ありますね。」

 天「まぁ、主神がかなり酷いから仕方ないかもね。

 そうしてラグナロクの始まりとともにフェンリルは解き放たれ、主神オーディンと対決したんだ。

 フェンリルはその巨大な口でオーディンを丸呑みにしてしまい、神々は一瞬で総大将を失ってしまった、、、。」

 ツ「ようやく恨みを晴らせたんですね。」

 天「また、フェンリルの子であるハティとスコールはそれぞれ太陽と月の神を飲み込んだと言われているよ。

 つまり親子で主神、太陽、月を飲み込む快挙を成し遂げたんだ。」

 ツ「流石ですね。主神殺しの血が受け継がれてます。」

 天「結局フェンリル自身はその後すぐにオーディンの息子に殺されてしまうんだけど、親子でここまでやったらもう勝敗は決まっているようなもの。

 結局、神々は異種族との戦いに勝てなかった。

 そしてその後世界は炎に包まれ、滅びたと北欧神話では描かれているね。」

 ツ「まさに世界を滅ぼした怪物ですね。」

 天「親子でラグナロクを終わらせた狼、フェンリルでした。」


 •心優しい怪鳥 インド最強の鳥ガルーダ

 天「最後に紹介するのは、僕が個人的に最強の怪物だと思った世界最強の鳥、ガルーダだ。」

 ツ「ガルーダも有名ですよね。なんで他の怪物達より強いと思ったんですか?」

 天「それは、彼がまさしく『最強』の名に相応しい活躍をしたからなんだ。

 では、ガルーダの秘密を見てみようか、、、。」


 •ガルーダの最強エピソード

 天「ガルーダが登場するのはインド神話。その姿は炎のように光り輝く羽根巨大な体を持っていて、シンプルに鳥の姿をとることもあれば鳥の頭に人間の体といった姿をすることもある。

 そしてガルーダは仏教にも迦楼羅天という名前で登場していて、観音菩薩を守る二十八部衆の一人として日本でも広く信仰されているんだ。」

 ツ「迦楼羅様なら知ってますよ!確か竜を食べるんですよね。」

 天「その通り!竜、即ち蛇は煩悩の化身であると言われていて、迦楼羅もといガルーダはその煩悩を祓ってくれる存在なんだよ。」

 ツ「成程、、、でもなんでガルーダが蛇を食べるようになったんですか?

 敵を食べるならカーリーとか似合うと思いますよ?」

 天「それはまぁ、、、わかるかも。でも、勿論その理由もある。

 今回は怪物として紹介するけど、それはその強さと神ではないという点だけ、ガルーダは母親の為に神々の軍勢と最高神を退ける大活躍をした心優しい人なんだ。」

 ツ「母親の為、、、何があったのか気になります!」

 天「ある時、乳海攪拌によって生み出された空飛ぶ馬『ウッチャイヒシュラヴァス」の色についてある姉妹が言い争いをしていた。」

 ツ「乳海攪拌?」

 天「乳海攪拌はアスラ神族と神々が不死の霊薬アムリタを手に入れる為、1000年間乳海を混ぜ続けた話なんだ

 その後すぐに神々がアムリタを確保したお話なんだけど、この時色々な神獣が生まれた。

 そしてそのウッチャイヒシュラヴァスの色でカドゥルーヴィナターという姉妹がとんでもない喧嘩をしてしまう。」

 ツ「なんか早口言葉みたいですね。」

 天「姉のカドゥルーは『あの馬は黒い尾をしている』と言い、妹のヴィナターは『全身が白い』と言い、負けた方が勝った方の奴隷になるというめちゃくちゃな賭けをしたんだよ。」

 ツ「た、、、確かにめちゃくちゃです、、、。」

 天「翌日、姉妹は実際に馬を見にいって確かめようとするのですが、ここで姉のカドゥルーが手を打った。」

 ツ「まさか、、、。」

 天「姉のカドゥルーは蛇族の母であり、蛇である息子達に『真っ黒になってあの馬に潜り込め』と賭けに勝つために裏で手を回したんだ。」

 ツ「やっぱりイカサマですか。」

 天「この空を飛ぶ馬ウッチャイヒシュラヴァスは白馬。カドゥルーは『黒い尾』と言ったので本来は負けていたんだけど、、、息子達のお陰で無理矢理賭けに勝ってしまった。

 こうして妹ヴィナターは奴隷になってしまったんだ。」

 ツ「これはかなり酷い話ですね。」

 天「ここで登場するのがヴィナターの息子ガルーダ。

 ガルーダは暫くヴィナターと共に暮らしていたんだけど、母が奴隷をしている事に耐えきれず『どうしたら母を解放してくれるのか?』と蛇達に聞くと、『不死の霊薬アムリタを持ってこい』と無茶振りを言ってきた。」

 ツ「なんか親子で腹立ちますね、、、。」

 天「こうして奴隷の母を解放するために母に別れを告げ、単身アムリタを手に入れる旅に出た。

 ガルーダは母に教わった通り、蛮族を喰らいながら旅を続けて行ったんだ。」

 ツ「サラッと怖い事してませんか?」

 天「インド神話だと、割とこういう話は多いから受け入れてくれ。

 アムリタは乳海攪拌の後、神々の元にあり管理していた。すると当然ガルーダが向かう場所は天界

 神々はガルーダが向かっていることを知り、守りを固めたんだ。こうして遂にガルーダvs神々の軍勢という一献無謀な戦いが巻き起こった!」

 ツ「いくら何でも無茶しすぎですよ、、。」

 天「創造神ヴィシュヴァカルマンが真っ先に向かっていくもののガルーダは難なくこれを退け、更に自らの羽根で超巨大な砂嵐を巻き起こして神々をパニック状態にしてしまう。」

 ツ「ガルーダが優勢ってどれだけ強いんですか。」

 天「この砂嵐によってアムリタの番人は視力を失ってしまった。

 その間にもガルーダは次々と神を打倒し、仕掛けられた罠を巧みにすり抜けていく。

 そして神々の軍勢をたった一人で退けると、ガルーダはアムリタを持って華麗に飛び去っていった。」

 ツ「凄くかっこいいです!!!」

 天「ガルーダが空を飛んでいると、維持神ヴィシュヌが現れ、『何でも願いを叶えてやろう』と言うんだ。多分、神々を打倒する様子を見て満足したんだろうね。」

 ツ「ヴィシュヌって確か、シヴァが勝てない方でしたっけ?」

 天「そう、ヴィシュヌは神々で最も強く位も高い神様で宇宙の再生、修復を司り、世界を散歩で横断し、宇宙が始まって終わるまでの間はヴィシュヌの瞬き一つの間に等しいと言われている、神様というより仏様に近い方なんだ。」

 ツ「とんでもない方が来ましたね。」

 天「この話はいずれ詳しく紹介するよ。そんな大御所相手にガルーダはこう答えた。『私は常に貴方の上にいたい。そして、アムリタがなくとも不老不死になりたいのです。』

 そしてガルーダもヴィシュヌに『何か願いはないか?』と聞いたんだよ。」

 ツ「かなり強気ですね。」

 天「それに対しヴィシュヌは『私の乗り物になってほしい』と答えたんだ。

 インド神話ではシヴァは白い牛、インドラは白い象という感じでヴァーハナと呼ばれる乗り物に乗っているんだけど、ヴィシュヌはこの時まで何にも乗ってなかったらしいんだよ。」

 ツ「器の大きい神様ですね!」

 天「こうしてガルーダはヴィシュヌの乗り物になった。その後ガルーダは帰ろうとするものの軍神インドラが彼を追い、自分の最強武器ヴァジュラを投げつけた。

 かつて水を堰き止める悪竜ヴリドラすら粉砕したヴァジュラだったが、なんとガルーダは無傷でやり過ごす。」

 ツ「強すぎます、、、。」

 天「なんとガルーダは卵の頃から『軍神インドラの百倍強くなるように』と祝福を受けていた。

 つまり、生まれながらに最強チートを貰っていた存在だったんだ!」

 ツ「軍神の百倍、、、そりゃ強い訳ですね。」

 天「ガルーダはインドラに敬意を払うため自らの羽を捨てると、インドラは感服してガルーダと友誼を結んだ。

 この時ガルーダとインドラはある約束を交わす事になる。」

 ツ「ある約束?」

 天「インドラの要求は『ガルーダの母が奴隷から解放されたらアムリタを神々に返す事』、ガルーダの要求は『蛇族を自らの食料とする事』。

 早速二人は蛇族の元に行き、ガルーダが蛇達にアムリタを見せると母ヴィナターは奴隷から解放されたんだ。」

 ツ「良かったです!」

 天「ガルーダは『沐浴してからこれを飲め』と言って蛇達を立ち去らせ、その隙にインドラがアムリタを回収、天に戻っていった。

 こうしてガルーダは約束通りに蛇族を喰らい、母と暮らしていった、、、。」

 ツ「確かに嘘はついてませんねw」

 天「母の為に神々と戦い、蛇族に対して復讐を遂げただけでなく世界に平和をもたらした心優しい鳥、ガルーダでした。」


 天「これ以外にも不死者すら殺すヒュドラ、トールと相打ちになったヨルムンガンド、津波を引き起こすリヴァイアサン、、、神より強い怪物はまだまだ沢山いるんだよ。」


 ツ「神様も大変ですね。」


 天「確かに、うかうかしてられないね。ただ、神々より強いのは怪物ばかりではない!


 神より強い人間もまた、沢山いるんだ。」

 
 ツ「神様より強い人間、、、想像つきませんね。」

 天「じゃあ今度は『神をも凌駕する人間』を見てみようか。」

(都市伝説考察日誌第26頁に続く、、、)


 (*フェンリルのお話を詳しく知りたい方は、合わせてこちらもどうぞ♬)