この本の事例で、発達障害オープン就職にも関わらず、社長に「みんなあなたに気を使っているんだからあなたも長く続けたいんだったら障害のせいにしないで周りのこと想像して」と言われた当事者がいました。
“面倒な障害者に気をつかっている、それが障害を理解して受け入れているということにはなりません。”
(久保修一. 職場にいるメンタル疾患者・発達障害者と上手に付き合う方法 (Kindle の位置No.499-500). 日本法令. Kindle 版. )
見えにくい障害である発達障害の人は、就職してからどうにもならない困難にぶつかります。そして障害の診断をされることが多いです。その困難さとは障害特性からくるものですが、かつてに比べ減ってきたものの「本人の言い訳や怠けや能力不足」と決めつけられ理解が得られないことがまだまだ多いです。
そして最近増えているのは、障害をオープンにし、配慮をお願いしても「こっちだって忙しいんだからそこまで気を回せない」と言われ取り合ってもらえないことです。
この事例は、社長ははじめ発達障害とタイトルに書かれた本を全て読破し、発達障害の人を歓迎して受け入れた。しかし、うまくいかないことが続き、やがて雇用した発達障害の人に「配慮する」のではなく「お世話している」感覚になっていった。そしてしまいには「面倒な障害者に配慮しているのになぜ感謝しないんだ」となってしまった。そう考えられます。
こういう人は珍しくありません。
この本に「無意識の偏見」というキーワードは登場しませんが、こういう方向になるのを防ぐには、障害特性への理解に加え、「障害者は健常者にお世話されるもの」という無意識の偏見を取り除くトレーニングが必要と感じます。
「あなたが障害のある人に助けられていることもある。つまり人は支え合っているもの」というふうに修正することです。