筋ジストロフィーと闘う歌手、小澤綾子さんの著書、「10年前の君へ」。
10年前の君へ―筋ジストロフィーと生きる (すーべにあ文庫) 540円 Amazon |
この短い本が、なんと舞台化されました。
舞台化したのは、「風の市プロデュース」という、聴覚障害者の表現の芸術性を高める活動をしている団体。この団体の上演する劇では、台詞に手話通訳がついています。
会場は中野区の野方区民ホール。
舞台版「10年前の君へ」は、朗読とパフォーマンスと綾子さんの歌による30分ほどの構成。
綾子さんの持病である筋ジストロフィーにより、筋肉が毎日少しずつなくなっていき、だんだん歩けなくなる…という様子を、操り人形を使って伝える役者。
より一層響くようになった綾子さんの歌。
この日、綾子さんが披露したのは2曲。
綾子さんの友達で、綾子さんと同じ病で亡くなった人が作ったという曲「嬉し涙が止まらない」。綾子さんが出会った頃、その方はすでに寝たきりで、指先一本でPCを使っていました。けれど「忙しすぎて秘書がほしいよ!」というほど、幸せで前向きな方でした。その友達から託された歌でした。
もう1曲は、綾子さんの作詞による「希望の虹」。虹は7色。それぞれの色が違っているから美しい。病気がわかったことで、他の人と同じようにできなくなることで苦しんでいたけれど、今では「違いを楽しもう」と伝えたい。綾子さんはそう語ります。
この日は「10年前の君へ」と、もうひとつ「ゆびのほとけ」という手話コメディ芝居が上演されました。
「亡くなったのは聞こえない人なんだから、お経を手話であげて!」という登場人物の台詞がなんとも。