井堀利宏「大学4年間の経済学が10時間で学べる」という本が図書館にあったので、題名に引かれて借りて読んだ。著者は東京大学の元教授だ。経済学のことは疎いので教養として学べればと思って読んだ。

経済学には「限界」が付く言葉が多い。「もう限界だ」「体力の限界まで頑張る」といった使い方しか普通は知らないので経済学での意味に面食らう。経済学では「限界」とは「増加分」のことだ。
限界コスト、限界メリット、限界効用といった単語で使われる。
限界コストは1単位だけ多く買う場合の増加コストを意味する。その時点での一個分の値段になる。
限界メリットは1単位だけ多く買った時の、その時点での満足度上昇分を金額にしたものになる。同じものを既に持っていれば、初めての時より満足度は低くなる。

知らずに読むと、とてもそんな意味には解釈できない。
「限界」の元の英語は何か調べると、marginalだった。もっと分かりやすい訳はなかったのかと思って考えた。
横軸に数量をとってグラフに書いた時の傾きになる。数学でいう微分値だ。
コスト微分値、メリット微分値と云った方が分かりやすいかもしれない。

その他、読んで印象に残ったのは、
(1)国債など公債のつけを誰が払うのかという問題
公債の償還を先送りしつづけると、将来世代に負担を押し付けることになるが、将来世代には遺産が残るのでいいんだという主張がある(バローの中立命題)。
(2)ケインズ経済学
標準的には需要と供給の関係で価格が決まり、それで生産数量が決まると考えられてきたが、ケインズ経済学では価格の調整スピードは遅く、需給バランスの調整は短期的には需要に応じた数量によってなされると考える。その為、不況時には足りない需要を増やすために公共投資や減税を行う。

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