以前のブログと同じ「中夏文明の誕生」を読んで、漢字が中国の歴史で非常に重要な役割を果たしているのを知った。
中国とヨーロッパを比べて同じような面積なのに、中国は一つの国に統一されているが、ヨーロッパは多くの国に分かれている。この違いに、漢字が表意文字であることと、ヨーロッパの文字が表音文字であることが関係している。

漢字は表意文字なので数が多くて覚えにくいが、文字自体が意味を表している。そのため周辺の国でも文字として漢字を使うことができる。例えば日本でも漢字を導入して訓読みして使っているように、自分たちの言葉を表すのに漢字が使えた。

中国は初めから広い範囲が統一されていたわけではなく、漢字を生んだ殷の時代に始まって、漢字は徐々に周辺に広まっていった。広まるにつれて新しい漢字が加えられてきた。
(日本生まれの漢字に畑などがあるが中国で通じるかどうか知らない。又、和製漢語が多く生まれており、中国が逆輸入したものは多い。)

中国では地方によって発音が違うので会話は通じないが、漢字は統一されているので書くことで意思疎通ができた。これによって国家統一が保て、中央統治が可能だった。

一方、アルファベットを使うと26文字で済むが、それぞれの国の言葉を表すと、そのスペルで書かれた文書は他の国では分からない。発音が違うと文書も違うからだ。これでは書いたものが別々になり、統一はできない。英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、オランダ語、スウェーデン語、等々国ごとに言語がある。

一時的に武力で大きな地域を征服できても、文書が分かれていると統一は保てないということだ。(国家とは、国境とは何か考えさせられる。)
もし、殷が使い始めた文字が表音文字なら、今の中国はヨーロッパのように多くの国に分かれていたはずだ。

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