続けて韓国のバイオレンス映画を観ていました。

 鬼手とは囲碁や将棋などで相手の意表を突くような奇抜な手のことを言うそうですが、本作では鬼神のように碁を打つ主人公のことも言っていそう。アンダーグラウンドな賭け碁の世界を舞台にした復讐劇です。

 父を亡くし母に捨てられ、姉と倹しい暮らしを送っていたグィス。著名な囲碁棋士の家で姉弟で手伝いをしていましたが、ある事件を機に出奔。碁会所で気のいいおじさんたちを相手に少額の賭け勝負をして生活費を工面していたところをある一人の棋士に見出され、本格的にアンダーグラウンドな世界に身を投じることに。ここら辺からだんだんとバイオレンスになってきます。

 碁の修行のシーンがすごい少年漫画で、初見時ちょっとびっくりしちゃったけど、これがまたいいんだなぁ。盤面を覚えること、集中力を保つこと、迅速に打つことなど、碁(特に賭け碁)に必要なことを叩き込まれます。途中で時が数年飛んで、修行を積んだグィスはついに山を下ります(山で修行してんだ)。ここからは復讐のターン。師匠から伝えられたやや胡散臭い賭け碁のマッチメーカーを頼りに師匠の仇を討ち、討った仇を仲間に従え、ついに姉の仇の前へ。ここからはすごい勢いで囲碁を打っていくんですけど、これがすごい壮観。体育館のようなところで、仇敵+100人のプロ棋士を相手に多面打ちをしていきます。徐々に減っていくプロ棋士たち、グィスに蓄積する疲労と、直前の立ち回りでのダメージと緊張感がすごい。碁でこんなにハラハラさせることできるのか。とうとう仇敵と一対一で対峙するグィス。勝敗やいかに。

 囲碁シーンもさることながら、本作アクションもすごいんですよね。主人公、囲碁と同時に身体も鍛えておりましたので。顔面もみじおろし(往復)とか、碁石ブラックジャックとか、突然始まるジグソー風のゲームとか。本作はグィスの復讐物語ではありますが、師匠もあくどいことをしており少年時代にはそれに加担していたので、実は本人も復讐の対象にもなっているんですよね。そこでギミック付きの碁盤が出てきてちょっとジグソーみ。本筋のほかにも程よくサイドストーリーが入ってきて飽きなくていいです。

 敵役たちも、サポート役のマッチメーカーもそれぞれキャラが濃ゆくて、そんなに長くないのに大変おなか一杯になる映画でございました。

 

 

 

 

 韓国の賭け碁が舞台といえば『神の一手』という映画もありまして、こっちもこっちですごかったんだよな。碁石を凶器にしすぎである。これも久々に観たい。

 

 

 

 

 ジグソーはこれ。1作目の衝撃すごかったよなぁ。