『ワニの町へ来たスパイ』こと『ワニ町』シリーズ第5弾。こちらも2023年8月に読んだのはここまで。こちらも前作のラストシーンの翌日から始まります。まとめて読むのが楽しい。主人公のフォーチュンは、保安官助手カーターとのデートの翌朝、自宅の寝室で親友アリーにデートの様子を話してくれをせがまれるところから始まります。いい歳なのに進捗ゆっくりなのよ。かわいいかよ~!!

 さて本作で事件に巻き込まれるのはその保安官助手カーターです。デートの舞台に選んだ場所で、あるべきではないものを見たようで……翌朝様子を改めに行ったところ、何者かの襲撃を受けてしまいます。事を聞きつけたフォーチュンたちが駆けつけたときには保安官事務所のボートは沈みかかっていて、船上にカーターの姿はなく、一も二もなく水に飛び込むフォーチュン、と本作も冒頭からアクションが激しい。自身と、自身が愛するかもしれない人の命の危機に際して、去来するフォーチュンの思いが痛々しいほど鮮烈で、もらい泣きしそうになるけどそこがこのシリーズの魅力の一つでもあるなぁと思います。それまで仕事一筋だったフォーチュンの感情が少しずつ解れて瑞々しく花開くのがいいんだなぁ。

 本作はカーターはほぼ病室にいますが、もっときな臭い感じの政府機関の職員が現れ、カーターではなく彼らの目を盗んでのスワンプ・チーム・スリーの暗躍が始まります。事態は思ったよりも重大な方向へ。過去作で少し接触のあった地元マフィアが再登場したり、フォーチュンが潜入生活を送る羽目になったそもそもの原因がチラついたりと、なかなかスケールの大きな話に。

 なかなかにハードな事件で、今後にも影響が出そうなところではありますが、なんのかんのとひとまず一件落着し、非論困憊のフォーチュンとカーターは幸せな昼寝に就いて終わるのがこのシリーズのすごいとこ。締めがいつも幸せなシーンなんだよね。きっとまたすぐ次の事件に巻き込まれるんだろうけど(その種はしっかり撒かれている)、今だけは幸せをたっぷり味わってほしいと思わせるエンディングでした。

 

 

 

 

 

 

 

 新刊は相変わらずまだ読んでない。