2回目行ったわけではないけれど、追加の感想を少し。感想1本目はこちら。

 

 本作中では、降伏寸前の相手に原爆を落とすべきかどうかを議論するシーンが一瞬ありまして。それについては「落とされた側」の人間としては、本当に落とす必要あったのか?と思うし、既に結末は見えているけどまだ終戦の手続きは取っていないからというだけで威力を示すために落としたんじゃないかとか思ったりもするわけで。そこへ、情報部から「日本は決して降伏しません」という意見が出てきたので結局落とすことが支持されたという流れになっているんですけど、それについても現代の映画などでCIAが悪役として描かれるときよろしく、都合のいいように言ったんじゃないかな、とか思うわけですよ。

 などとぐるぐる考えながら観ていた時に、ふと思い浮かんだのが、映画『この世界の片隅に』で玉音放送を聴いた時のすずさんの反応でした。あれは戦争に費やされたさまざまなものが、すずさんが支払った犠牲が、すべて無駄になったことに対する怒りの表明だったと思うんですが、それでも「まだここに日本人がいるだろうが、最後の一人まで戦うんじゃなかったのか」という形で表出するとなると、「降伏しない」と見做されたというのも、あながち向こうも本気で思っていたのかなぁ、とか。

 だからといって、原爆投下が終戦を早めたとか、それによって救われた命がたくさんあったとか、礼賛するものでは絶対ないし、仕方のないこととも思わないけど、でもまあなんであんな戦争になったかと言えば、もちろん日本側にも責任はあるわけで。とにかくいろいろ考えさせられるし、あの映画が落とした側の国では原爆賛美の呼び水になったりしていなければいいなと思いました。

 

 核戦争の恐怖といえば、冷戦下や冷戦の記憶もまだ新しい頃は盛んに映画の題材になっていたかなと思います。わかりやすいところでいうと『ターミネーター2』でサラ・コナーが視るビジョンとか。最近そういう映画少なくなっていたかもなぁ、と思うと、改めてこういう作品が、飲み込みやすい形で大々的に世に出ることには意味があるんじゃないかな、とは思った。原爆のもたらした惨状に関する表現の多寡についてはいろんな意見があると思うけど、私は炭化した人体を踏み抜くビジョンがすごくぞっとしたな。そう思った人がたくさんいるといいと思う。世に平和がありますように。