ネイサン・レインがバチバチによかったな! お元気そうで何よりです。(ミュージカル映画『プロデューサーズ』が好きなので。)うさん臭さと底知れない空恐ろしさが絶妙に透けて見える感じが大変良かったです。

 という以外はあんまりポジティブな感想が出ない気がしますので、続きは映画公式サイトのリンクの向こう側に。

 あ、ポジティブな感想がほぼ出てこないような鑑賞体験でしたが、それでも3時間、席を立たずに観ていられたという点では、画面作りや構成がめちゃめちゃうまいんだろうな、とは思った。ネイサン・レインパートのパステルカラーの悪夢っぷりがマジでヤバイ。

 

 

 中年男の(被害)妄想トリップムービー。監督は、母親になんぞの恨みでもあんのか……? 3時間何を見せられていたんだろうな。どん底気分というよりドン引き気分だったかな……。

 『ヘレディタリー/継承』が後味悪くって『ミッドサマー』は結局観ずに今回のボーなんですが、なんかこう、この監督とあんまり合わないのかもしれないな。『ミッドサマー』は観よう観ようと思いつつ勇気が出ずにいたのですが、ボーはただただ「なにこれぇ」で終始して、これなら『ミッドサマー』も巷で言われるほどの衝撃は、私は受けないかもしれないという気がしてきたので、却って肩ひじ張らずに気軽に手を付けられそう。

 公式サイトの観た人向け解説ページにあった肖像画の仕掛けについては、鑑賞中全然気づいていなかったので、集中力が完全にどこか行っていたのかもしれない。あと解説ページで『ヘレディタリー/継承』の祖母の話出てきたけど、本作も祖母の話一瞬だけ出てきますね。祖母、母、息子、でなんかあるんか、監督……。

 

 ホラーというにはホラーらしい要素もなく、コメディというには笑えない、というか笑っていいのかそれ、という感じだったかなー。全編通してうっすらおぞましいという意味では作品の存在自体がホラーかもしれない。

 

 そういえば本作はショッピングモールの映画館で観たのですが、鑑賞後フードコートで食事していたら、テーブルの向かいの席に知らんおっさんが急に座ってきたので、映画観たあとなんかしらおかしなことが起こるような何かが出ているのかもしれない。イヤホンしていたこともあり、座った瞬間も妙に大きく動いたところもすべてガン無視していたらそのまま去っていった。何だったんだ。

 

 とにかくボーに全く共感も感情移入も同情すらもできなくて、というのはなんとなくどっか「僕が惨めなのは全部ママのせいだ!」みたいなのを感じちゃったからかなと思う。親の束縛を疎ましく思いながらも、その庇護下から出ていけなくて安住してしまっているのがちょっとな。それはもちろん過干渉な母親にスポイルされたせいだからではあるんだけど、それでもな~……。

 なんとなく、エヴァのシンジ君のことを受け入れられないのと、私の中では似た位置づけになった。エヴァについては初見がシンジ君と同年代なんですが、どうせ僕のことなんか道具だとしか思ってないんでしょ、と言いながらも父親を求める姿に「14歳にもなったんだからいい加減そんな親のこと見限れよ」とか思っていたので……。シンジ君の方が10代なだけ全然ましだけども。

 それに比べると、親の庇護が得られないと思ったら早々にほかの手立てを見つけようとする『マダム・ウェブ』の女の子たちの方が、私は好みだったな……。

 

 

 

 

 ぶっちゃけ『ジョーカー』もあんまり……って感じだったんだよな……。ホアキン・フェニックスの演技がうまいのはわかるが、うますぎるあまりにドン引きするんだわ……。私はそういうおぞましい現実を観たくて映画を観ているわけではないので(というかそこから目を逸らしたくて映画を観ているので)、こういう作品向いてないんだな、って思う。