買うだけで満足してしまって読まないことが多いので、パンフレットを買うことはほとんどないのですが、映画『ゴールデンカムイ』については、その漫画の再現度があまりにすごすぎて、そしてアクションがすごく良かったので、鑑賞後の勢いに任せて買ってしまいました。同じくグッズも、管理や保管があまり得意でないのでもうほとんど買わないんですけど、買っちゃったよね、ランダムチャーム……。レタかわよい(けど、イラストになっちゃっているので、もう少し実写寄りのアイテムが欲しかったなー!というのが本音。映画リピった時にまた買ってしまうかもしれない。)。

 

 

 というわけで、そのまま勢いに任せて読みました、パンフレット。原作を実写化するにあたっての、ロケハン、美術、衣装、メイクなどなどの意気込みが本当にすごい。アイヌ関連の衣装や持ち物、建築物の製作にあたっては、アイヌの人々も多く関わっているそうです。それであの説得力のある画面になったのか、と納得。

 映像のイメージとして『レヴェナント: 蘇りし者』があったそうで、なるほどグリズリー、と思ったり、山﨑健人のお気に入り軍帽エピソードに杉元っぽさを感じたり、軍人役の皆さんが体を鍛えるせいで採寸ごとにサイズが変わっていたという話で役者さんすごいけど衣装さんも大変!と思ったり、いろいろ面白かったです。白石、尾形、二階堂を演じた役者さんたちは、もともと原作を読んでいて、その時から演じるキャラクターのファンだったそうで、なるほどな~と納得しきり。

 主要な部分は公式サイトでも読める(プロダクションノート)けど、衣装やメイク、美術の詳細なところを知りたい場合はパンフレットもおすすめです。アシパさんのチセの間取りや、家の中にあるものの設定まである。

 

 

 アイヌ関連部分に、アイヌの人々が大きく関与していることについて、私は素晴らしいなと思ったのですが、元Twitterでは「例えば『日本人は手先が器用だから小道具や美術をやらせておいて日本人役は白人がドーラン塗って演じよう』なんてことあったら大問題だろう(大意)」という指摘も見かけて(おすすめタブで見かけて、その後見失ってしまったので、正確ではないかも)、それは全くその通りだな、とも思いました。主人公の「アイヌの少女」を和人が演じている時点で、その批判は免れないよなぁ。自分でそこに思い至らなかったのは反省すべき点だと思うけど、でも山田杏奈のアシパさんもすごくよかったんだよなぁ……。複雑な心境。

 原作の最終回が連載誌に掲載されたときにも、アイヌの人々をその土地から追った政策を、アイヌ保護のためだったとも読めるような描き方をしていたり、あれだけ少数民族やはみ出し者への迫害とそれを振り払う話をしていたのに東南アジアは!?みたいな展開があって、批判はあったんだよね、確か。

 映画でも描かれた、アシパさんに侮辱的な言葉を投げた白石に食って掛かって、それを「慣れているから」と止めるアシパさんに「慣れる必要なんかない」と述べる杉元に見られるようなスタンスの作品だったはずなのに、という点で批判もまた大きかったのだろうと思う。

 自分がこの作品が好きで、楽しんでいるだけに、そういう批判の余地もあるということは、覚えておかなきゃいけないな、と思いました。

 

 

 原作の野田サトルがインタビューで妙に予防線っぽいことを述べていたのは、アシパのキャスティングに対する批判がすでにあったからなんだろうなぁ。(この文脈で載せるのはちょっとあれだけど、インタビュー記事自体はとてもよかったです……)。

 こういったことも含めて、いろんな問題を受け手に突き付けてくる作品だなと思います。

 

 

 パンフレットでも言及のあった『レヴェナント: 蘇りし者』では、ネイティブアメリカンと白人の間の子供の役はネイティブアメリカンの役者が演じているようです。