私はオリンピックってあまり見ていない。ニュースや情報番組の中で扱われる際に見るくらい。
あとは、ネットにあがってくるヘッドラインのうち興味を引いたものを読む程度。
だから、きっと今回のオリンピックの裏話なんていくらでもあるんだろうと思うけど、たまたま私は卓球の早田ひな選手の話題に興味をもった。
競技がすべて終了して、メダルを首にかけた写真を撮るときに、試合に出た早田、平野美宇、張本美和の3人だけでなくリザーブの木原美悠も加わって写してもらったという。
その際、平野、張本、木原の3人には団体で取った銀メダルを、早田本人はシングルで取った銅メダルをかけている。
早田の中には3人ではなく4人で勝ち取ったメダルなんだという強い思いがある。
彼女が公式インスタグラムに綴ったというやや長文の投稿は、読む者を納得させ感動させる文章だと思う。きっと優しくて賢い人なんだろうな、と感じていた。
そうしたら昨日だったか、帰国直後の会見で「大会が終わった今、行きたいところは?」との問いに「アンパンマンミュージアムとあとは・・・鹿児島の特攻資料館」と応えたそうである。
アンパンマンミュージアムは私は知らない。鹿児島の知覧特攻平和会館はむかし行ったことがある。
たんに特攻を賛美するだけの施設なら行く気もなかったが、事前に調べると、そんなふうな思い込みで切り捨ててほしくないという声が多いのを知って、行ってみた。
行って良かったと今でも思っている。
出撃した若い兵士たちの遺書ともいえる手紙がたくさん展示されているが、丁寧にひとつひとつ読んでいくと、彼らの思いが伝わってきて涙なしではいられなくなるほどだった。
それにしても早田選手はなぜ特攻資料館へ行ってみたいなどと言ったのか。アスリートが五輪後にそこへ行きたいと挙げるのは相当珍しいと思う。
彼女は「生きていることも、こうして好きな卓球ができることも当たり前のことじゃない」という思いがあってそこへ行ってみたいと感じたようだ。
もしかしたら、少し前に話題になっていた映画「あの花の咲く丘で、君とまた出会えたら。」の影響もあるのかどうか。ま、私はこの映画は見ていないのでなんとも言えないが。
いずれにしても、早田選手がこういうコメントをすることで特攻資料館などが注目され、多くの人が訪ねるようになればそれはとてもいいことだと思う。