作家の三浦綾子さんはクリスチャンでした。
そのクリスチャンの仲間に、どんな話題に対しても「ありがたいですよね。感謝ですよね」と答える「感謝婦人」と呼ばれている方がいました。
旭川で、20日間もの長雨が続きました。
洗たく物も乾かないし、農作物もなかなか育ちません。
いくらなんでも、どう考えても感謝婦人から「ありがたいですよね」という言葉が出てこないだろうと、三浦綾子さんと感謝婦人との共通の友人が、思いました。
その友人は、自分の頭の中で考えに考え「ありがたいですよね。神様に感謝ですよね」と言えるとしたら、どんな理由が考えつくかと、知恵を振り絞って考えていました。
しかし、どう考えても「ありがたい」という理由が出てきません。
感謝婦人に聞いたら、どう反応するか、どういう答えを返すのかとワクワクしていると、ある日のこと、感謝婦人とばったり会うことができました。
友人が、感謝婦人に対して話しかけました。
「それにしてもよく降りますね。20日も続くと困りますよね」
この言葉に対して、感謝婦人はにっこり笑って、このように答えました。
「ありがたいですよね。感謝ですよね。これだけの雨を神様がもし一日で降らせたとしたら、ありとあらゆる川が氾濫して、たくさんの人が困ったでしょうね。
限りないやさしさと愛情に満ちた神様は、これだけの量を1日で降らせないで、20日間に分けて降らせてくださっているのですよね。
本当に感謝ですよね。ありがたいですよね」
感謝婦人の話を紹介したうえで、三浦綾子さんはこのように綴っています。
「意気地なしの私に、この痛みが一日で来たら私は絶対に耐えられなかった。
限りない優しさをもって、神様は、この痛みを20年に分けて送ってくださっているんだ。神様ありがとう」
20年、悩んで苫しんで、激痛に耐えてきた人が、感謝婦人の一言を聞いて、
わが身に置き換え、その痛みを「20年に分けてくださってありがとう」と書いて、その文章を結んでいます。
人間は、ここまで捉え方を向上させることができるのです。
笑顔で光って輝いて
P45-47
小林正観
実業之日本社