血液検査で、無機リンの値が低めに出ることが増えていました。

 

その理由に首をひねっていました。

 

過去の血液検査結果を時系列で並べて観察すると、元は正常値で、ある時から下がっていました。

 

歴代のお薬手帳を振り返ってみると、ナイアシン製剤を服用するようになってから、血漿中の無機リンの値が下がっていました。

 

 

ナイアシン摂取と無機リンの血漿中濃度の関連性を、ネット検索を利用して論文があるかを調べました。

 

何と、腎不全や腎機能低下(CKD)を患っている方々の無機リンを低下させる方法として、既に研究が始まっていたのですね…。

 

 

腎臓のネフロンで尿中に排出された無機リンは、体から排出されるまでに再吸収されます。

 

ナイアシンはこの再吸収を阻害する作用があるのです。

 

 

私の場合、いわゆる低リン血症と言えるほど低下しているわけではありません。

 

不思議なのですが、正常範囲で低めかわずかに外れる値になってから、骨密度が高くなっていました。

 

グルコン酸カリウムを積極的に定量摂取するようになった時期と重なっているので、一概に骨密度急上昇に血漿中の無機リン低下が貢献したとは言えないのです。

 

なにせ、骨は、科学的表現で表せば「リン酸カルシウム」です。

 

でも、無機リンの過剰摂取が体に良くないことは知られています。

 

活性型ビタミンD3製剤を継続して服用しているので、血漿中の無機リンは高くなっても異常とは言えません。

 

 

腎臓は腎臓内科という専門外来があるほど、非常に重要な臓器です。

 

ただ、栄養素の再吸収という側面が泌尿器官にあることを考えると、腎臓と泌尿器は一体として考えるのが妥当なのでしょう。

 

ナイアシンがこんなところにも作用している知識がなかったので、非常に新鮮な発見でした。

 

 

透析を行っている腎不全の患者にとって、摂取するカリウムや無機リンを減らす食事の大切さはよく知っていました。

 

ただ、排尿がほとんどなくなる人が多い中で、再吸収阻害がどの程度の薬効につながるのか、治験があればはっきりすることなのだろうと想像しています。

 

また調べてみようと思っています。

 

 

ナイアシン製剤服用は、透析に至っていないCKD患者には、もしかしたら有効なのかもしれません。