『猿の惑星/キングダム』IMAX
2024/5/10 グランドシネマサンシャイン池袋 シアター12 h-23
紆余曲折あったが、コツコツ貯めた6ポイント無料特典プラスIMAX追加料金800円で鑑賞。
まずは映画『猿の惑星』の歴史をざっとおさらい。
『猿の惑星』(1968)
Planet of the Apes
日本語訳は、1968年(昭和43年)4月の映画版日本公開に合わせ、同年2月に早川書房から小倉多加志訳が、同年7月に東京創元新社(現在の東京創元社)から大久保輝臣訳が出版された。
東京創元新社版の訳者である大久保輝臣は、当時の事情を巻末に収録の「訳者あとがき」で、日本語訳翻訳権は東京創元新社が独占所有しているはずなのに、早川書房が出版しえたのは「奇怪であると言うほかない」とし、早川書房版は「英語版からの重訳であることが明らか」で、英語版に起因する誤訳や脱落が散見されることや、大久保自身の都合で出版が早川書房に先んじられてしまったことを記している。
その後も両社による併売は続けられているが、東京創元社が大久保輝臣訳を重版しているのに対し、早川書房は2000年(平成12年)2月に仏文学翻訳家の高橋啓による新訳で再出版している。
- 小倉多加志訳.東京,早川書房,1968年(昭和43年)2月,212p.,(ハヤカワ・ノヴェルズ),NCID:BN10837304.
- 大久保輝臣訳.東京,東京創元新社,1968年(昭和43年)7月,246p.,(創元SF文庫632-01),ISBN 978-4-488-63201-4.
- 高橋啓訳.東京,早川書房,2000年(平成12年)2月,287p.,(ハヤカワ文庫SF1300),ISBN 978-4-15-011300-1.
『続・猿の惑星』(1970)
Beneath the Planet of the Apes
- マイケル・アヴァロン『続・猿の惑星』(Beneath the Planet of the Apes) 小倉多加志訳、ハヤカワ・ノヴェルズ、1970年。NCID:BN10793060。
『新・猿の惑星』(1971)
Escape from the Planet of the Apes
- ジェリー・パーネル『新・猿の惑星』(Escape from the Planet of the Apes) 小倉多加志訳、ハヤカワ文庫NV82、1974年
- デイヴィッド・ジェロルド『最後の猿の惑星』(Battle for the Planet of the Apes) 小倉多加志訳、ハヤカワ・ノヴェルズ、1973年。NCID:BA56364559
の、オリジナル『猿の惑星』映画五部作は遠い昔。
2001年の唐突で単発のリ・イマジネーション作
Planet of the Apes
はそれ単独で鳴かず飛ばず。
時期的にはエイプ(類人猿=チンパンジーとボノボ/オランウータン/ゴリラ)は全編CG処理で映像化しそうなところ、
なぜかリック・ベイカーの特殊メイクでこなし、
ティム・バートン監督の真意が掴みかねる作品だった。
次が
『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』(2011)↓※画面と本文は関係ありません。
澤穂希(さわほまれ)=港川人(みなとかわじん)の男性
いきなりそっくりさん2024年5月⓵
Dawn of the Planet of the Apes
『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』(2017)
War for the Planet of the Apes
この三部作でCGシーザー三部作(仮)も終わり…
かと思ったら、
今年2024年になっていきなり、
CGシーザー三部作の「続き」らしき『キングダム』が登場。
IMAX版の感想は?
私は鑑賞を堪能しましたよ!
完全新作をわざわざ作るだけの意義と価値があり、
63歳にして思いがけず『猿の惑星』シリーズの映画完全新作に出逢えて幸せでした。
ネタバレなしでもう少し映画の中身に触れておくと、
じっくりとゆったりと上映時間を割いて斬新で独特な景観や情景をたっぷりと映し出し、
中盤からは壮大な人工物の遺構のビジュアルもてんこ盛り。
そこで展開するのは、エイプが支配権を握ってからの彼らの人間→猿人ドラマで、
『創世記(ジェネシス)』まで健在だった、どうしてそういう社会情勢になったのかというSFドラマ展開はすっかりなりをひそめ、
そこで生きるエイプ主人公の心理ドラマが展開するのも、ほぼ『新世紀(ライジング)』『聖戦記(グレート・ウォー)』どおり。
CGのエイプ像は実際のチンパンジー/オランウータン/ゴリラと寸分違わぬものにできるが、
それだと実写?版『ライオン・キング』(22019)のように
わざわざ手間暇かけた映像も実写と見分けがつかなくなってしまうため、
↓これが本物のチンパンジーの目だ!
目だけは人間に寄せていて、
映像が作り物だと示しちゃいるが、
ほぼドキュメンタリー映像のように、まったくVFX面でのしくじりがない!
これまでの『シーザー三部作』では、
エイプが人間から引き継いだ知的生物が必ず通る道、
「個と他」「共同体と社会」「対立と和解・協調」等をなぞっていたが、
今回はそこに、「文字と科学技術/文明」を使いこなす文明要素と、
支配者が宗教を脅しの道具に用い、
教祖の教義が歪んで受け継がれてしまうという、
これまた人間も陥りやすい罠に、エイプもハマってしまう状況が克明に描かれていて秀逸。
音楽の正統派ジョン・パエザーノ(初耳)が、ジェリー・ゴールドスミスの原曲を随所でなぞり、
ケヴィン・カイナーが『スター・ウォーズ 反乱者たち』で、ジョン・ウィリアムズのモチーフを『スター・ウォーズ』からのみならず、『インディ・ジョーンズ』シリーズからも借り受けていたように、
68年版『猿』と71年版『新』からだけでなく、
『トータル・リコール』(1990)からもゴールドスミスの原曲を借り受けているのには感心した。
それとこれはかなりのネタバレ?だが、
『キングダム』に人間トレヴェイサン役で、マーク・ハミルが出ているのには驚いた。
だけどなんか声が違うんで、
「あれえ?ハミルじゃないのかなあ」と訝(いぶか)しんでいたら、
エンドクレジットで、ウィリアム・H・メイシーだったと判明し、
「ああ、なるほど」と、2010年にハミル本人に会った時のこと(ルークなの?・2010年08月16日)を思い出した。
(以下転載)
そんなこんなで、
ついにマーク・ハミル本人とご対面ですよ!
わずか30秒でしたけど。
ハミルって、昔からヨーダの声マネがうまいんだけど、今の彼は、ヨーダ(左)とウィリアム・メイシー(右)をニコイチしたように、
くたびれて(劣化して)ました。
マーク・ハミル≒ウィリアム・H・メイシー
いきなりそっくりさん2024年5月⓶
『猿の惑星/キングダム』本編に話を戻すと、
『創世記』『新世紀』『聖戦記』三部作で終わらせずに『キングダム』まで続けたのは、
- 『創世記』が『新』に相当し、
- 『新世紀』が『征服』に相当し、
- 『聖戦記』が『最後の』に相当し、
2024/05/11
20世紀フォックス映画社が2019年からディズニー傘下となり、
本社作品(本流アニメやMCUやSW)が軒並み不振続きなため、
フォックス社の過去資産、
『エイリアン』とか『プレデター』とか『猿の惑星』で巻き返しを図るつもりらしい。
同じ9部作でも、SWにだけは成り下がってほしくない。
今回はここまで。