宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち
第9話「ズォーダー、悪魔の選択」2018/11/30放送
【概要】
土方の臨時指揮下でヤマトは反乱軍と交戦していたが、敵の予想以上の火力に、惑星が崩壊し始める。一方、古代と対面したズォーダーは、自種族が人為的に作り出された人造兵士であるという出自や、宇宙を支配する大義を語る。そして、古代の持つ愛がエゴであると示すため、3隻すべてのガミラス艦の避難民の中に、ガトランティスの人間爆弾が紛れていることを明かし、1隻だけ選んで助けろと迫る。罪悪感を抱えつつも雪の乗る艦を選ぼうとする古代に対し、雪は彼を苦しませず自身を選択要素から外そうと艦から身を投げ、古代は選択を放棄して雪を助けに行く。その行為に憤ったズォーダーは3隻とも墜落させようとするが、ヤマトは全員を助けようと、崩壊する惑星内核へ波動砲を撃つ。古代が雪に求婚する中、2人は波動砲の命中した惑星内核から弾き出され、救われる。
みんなが文句を言っているヤマト2202で、その矛先や責任は、
どうもスケーブゴートに仕立て上げられて、
わざと暴れ回っている気がしてきた。
2202はそれぐらい、話の骨子、ドラマ展開がくだらなく、
作為や意図がミエミエで、
とうていプロの作品とは呼びがたい、
陳腐さだけで構成された作品である。
作劇の順序が逆で、
エピソード順に物語が構築されず、
後のエピソードでやると決まったことから逆算して、
前のエピソードで種をまいておくという、
トリッキーな手法が続出している。
例を挙げよう。
第8話で、森雪が背負ったランドセル型の通信機。
第9話で使い途(みち)があった。
つまり、今回の9話で空間騎兵隊や外部との通信機を使う場面があるので、
8話で前置きされたわけ。
いや、だからって、通信機をこれほど大型化する理由にはなりませんが。
同様のことは、
1話からの大戦艦(カラクルム級戦闘艦)は、7話のため、
3話のロバート・レドラウズ教授と
桂木透子(かつらぎとうこ)は、
まさに今回の9話のために前フリされており、
通常のドラマ構築とは逆向き(後続話から先発話)に振り分けられている。
これがトリッキーでだまし討ち臭く、
感心するよりもひっかけやごまかし策に呆れてしまうわけだが、
同路線の延長で愚の骨頂として際立つのが波動砲。
7話では人工太陽との相互作用で、
ガトランティスの数万隻のカラクルム級を、
一挙に機能停止に陥らせながら、
敵艦に物理的ダメージは一切与えず、
今回の9話では、
古代と雪の乗る探索艇を、
崩壊途中のシュトラバーゼと波動砲の相互反応で、
破壊作用の範囲外に、はじき飛ばす。
どういう理屈なのかはまったく理解できず、
いかに波動砲が万能の解決手段=便利道具に、ひたすら利用されまくっているかだけが把握できた。
それに加えて、
第9話は、古代進の感情とエゴむき出しのクサイ芝居が延々と続き、
これでどれだけの観客=視聴者が作り手の思惑通りに感動したりするのかと、
反対にドン引き、興ざめしてながめているうちに、
こちらの『ヤマト2202』の視聴体制が、
どうやらマジメに額面通りに受け止めすぎだったんではと言う気がしてきた。
映画館では、
音響のリミッターを外して最大ボリュームでがなり立てる爆音上映とか、
劇中キャラと一緒に大声で歌ったり、声援や拍手、歓声を出し放題の応援上映などがある。
「ヤマト2199」も「2202」も、作品完成たちまち、テレビ放送を待たずに先取り鑑賞したい観客層のために先行上映が定例化してはいるが、
実は「2202」って、回顧上映で爆音ならぬ爆笑上映を狙ってるんではあるまいか?
たとえば、第7話で、サーベラーがBGMを自分で演奏するシーンで観客がどっと沸き、
同じ7話や今回の9話で、どうして波動砲を撃ってそんなことになるのか、
説明セリフに「んなわけねえだろ!」とツッコミが入って爆笑がそれに続く。
古代のクサイ芝居や森雪との珍妙なラブシーンに、
嘲笑やクスクス笑いがかぶりまくる。
それはそれで、面白いんでは?
じっくり考えるに、
自分は絶対執らない手段だが、
ここまで「2202」が崩壊してしまうと、
いっそ開き直って、「全部ギャグでした。チャンチャン」と宣言するしかないんでは?
むかし、中子真治氏が「ターミネーター」のジェームズ・キャメロン監督にインタビューし、
同監督は、「意図したことがうまくいかずに、実はギャグでしたと言い訳するのは見苦しい」とおっしゃってたが、「ヤマト2202 愛の戦士たち」は、もう見苦しくいいわけするしかないレベル。
来週以降も「ほら、ここ笑うとこ!」を見つけることにしようっと!
売り上げランキング: 1,173