初の未完ROTSベイダー/究極のベイダーマスク2017(7) | アディクトリポート

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造形のCSマクラーレン(イギリス人)と、

塗装と組み立てのブックフェイス(アメリカ人)の共作、

ダース・ベイダーの究極レプリカ…

というよりは復元(レストレーション)マスク(ヘルメット)+アーマーの完成品

カジモドシリーズは、

ANH

ESB

ROTJ

の3モデルがそろい踏み。

 

カジモドが、単なるマニアのこだわりと異なるのは、

自分の好みで製品ラインを決めていないこと。

 

1作目『新たなる希望』(1977)のベイダーだけがホンモノで、

後は粗悪なコピー品と位置づける、

↑『帝国の逆襲』(1980)

↓『ジェダイの復讐(帰還)』(1983)

ガンコなベイダーマニアは多いが、

カジモドは劇中に登場したベイダーは全て肯定。

 

それぞれに個性と良さがあるとの判断から、

個々の差違を明確にしながら、

どれも独自の存在として成立させている。

 

こうなると、

順番的には、

2005年の『エピソード3 シスの復讐』に登場したベイダー、

つまり

カジモドROTSとなるはず。

 

このベイダーの大まかな特徴は、

*完全な左右対称形

*グロスブラック1色仕上げ

——という、従来のベイダーマスクの方針に背くもの。

↑『ジェダイの復讐(帰還)』(1983)

 

もうこれだけで、

「ダメだこりゃ」と見放してもよさそうなのに、

全ベイダーを全肯定する、

カジモド精神は生きていた。

 

とはいえ、この方針変更で、

ROTSベイダーは、カジモドとは呼べなくなった。

 

なぜならカジモドの名は、

顔が歪んだ『ノートルダムの鐘』の主役キャラに由来するからだ。

 

というわけで、

またしても、

Facebook(フェイスブック)での、

CSマクラーレンによる製作日誌をかいつまんで紹介しよう。

 

2015年3月3日
 
ROTSベイダーマスク造形の、きわめて初期の段階。

これまでの成果に満足せず、
常に次の一手に踏み出すべきだと考えて、取り組み始めた。


2015年3月3日
無から作り上げた、完全新規造形の、ROTSベイダーのフェイスプレート(マスク部分)。

黄色い部分は、剥製用クレイ(造形用粘土)で、

安価だがきわめて頑丈、その反面、とても扱いにくい。

 

白く見える部分は、2種混合型クレイで、

こちらはきわめて扱いやすく、

顔面の造形をリアルに仕上げられるようになった。

 

ここに至るまでに何年もかかり、

しばらく取りかかっては、

しばらくほったらかしを、何度もくり返し、

作業の途中で、投げ出したくなったことも数知れず。

 

ファンメイド(公式製品でない、マニア造形)の

『エピソード3 シスの復讐』のベイダーマスクのレプリカと言えば、

マスターレプリカ社の既製品を若干手直しして、

☆「ハイ完成」という安直なものばかりだが、

そんな小手先の修正作業では、

真の造形作業とは呼べないのではないか。

 

『シスの復讐』公開翌年の2006年に、

マスターレプリカ社から発売された、

 

劇中プロップと同仕様という触れ込みで、

たしかに「看板に偽りなし」だったんだろうが、

 

とにかく原形になった『シス』版マスクの造形がお粗末すぎて

マニアやコレクターにそっぽを向かれ、

大量に在庫を抱えたMR社は、

「ザ・ベイダー・プロジェクト」と銘打ち、

2007年のSWセレブレーション(ロス)、

同年7月のSWセレブレーションヨーロッパ(ロンドン郊外)、

※実際は、会場外に併設。

2008年のSWCJ(セレブレーションジャパン・幕張)と、

3回にも分けて(それ以降もあった模様)、

アーティストに落書き/改造用のマスクとして無償提供し、

売れ残りをさばくしかなかった。

 

ルーカスフィルムが3Dレーザースキャンを用いたのに対し、
手作業で左右対称に仕上げるというのは、
ことのほか骨の折れる作業で、手鏡を片手に確かめながら、

コツコツと取り組む以外にやりようがない。

 

自分にとって、各作のヘルメット造形は、

その過程でどれだけ多くを学んだかの物語を語ることであり、

習得の旅を続けることである。

 

途中で投げ出してしまうのは、語ることと旅を途中でやめるに等しく、

夢をあきらめることだから、

なんとしてもやり遂げなければ。
 

2015年7月4日

ROTSベイダー。
独力による完全新規造形で、ここまで行き着くのに、
何年もかかった。
 

2016年2月10日

 
マスク(フェイスプレート)の造形だけで、
かれこれ8〜9年もかかってしまった。

このうえドーム(ヘルメット)まで、手鏡を片手に、
コツコツと手作業で対称形を出すのは途方に暮れるので、
こちらの造形には、
3d studio Max(スリーディー・スタジオ・マックス)の導入を決めた。

これにより、劇中に登場したROTSベイダーの特徴をもれなく造形に反映させながら、
マスターレプリカ製品に一切頼らずに仕上げることが可能になる。

 

2016年2月20日

手作業で造形したROTSマスクにフィットするドームの形状を模索すると、
どうしても左右が非対称になってしまいがち。

この問題を解決し、
カジモドANH

カジモドESB

カジモドROTJ

に匹敵するレベルに仕上げるには、
最新の3Dモデリングの導入が欠かせない。

結局、このヘルメットには、
膨大な手間と日数、経費がかかることになってしまった。

完成はいつのことやら。

(製作日誌抜粋おわり)
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ところが2016年2月を最後に、
ぱったりとROTSヘルメットの情報は途絶えてしまった。

いかに名巧CSマクラーレン氏が完成させたところで、
そもそも『シス』版の劇中ベイダーマスクに魅力がなさ過ぎて、
ニーズがないのかも知れない。

つまり、
『シスの復讐』版のベイダーヘルメットなんか、
誰も欲しがらない
と言うこと。

とにかくカッコ悪いし、
カッコ良く直してしまえば、
ホンモノのROTSマスクではなくなるという矛盾をはらんでいる。


なにしろ『シスの復讐』は、
プロにあるまじき誤選択の連続だった。

ティーザーポスターで、
アナキンのマントが
ベイダーマスクに変形するのも、
なんでブザマに中途半端だったのか不明。
↓こんな感じじゃダメだったのか?


予告編で起き上がるベイダーも、

両手首を拘束されて、

弱々しいこと、このうえなし。

本編では直ったが、

なんで最初からそうしなかった?

 

かように『シス』のスタッフは、のきなみバカ揃いで、

既存のマスクを3Dスキャンし、

片側の反転像とニコイチして、

「史上初、左右が完全に対称形の、ベイダーマスクの完成だ」

とうそぶくに及んでは、

自分の無知無教養をひけらかしているのに気がついていないことに呆れまくった。

 

ベイダーマスクが左右非対称で歪んでいるのは、

演者のデビッド・プラウズの顔面型取りに、

みお

粘土を盛りつける方法でマスクを完成させたからだが、

たしかに工業製品として捉えるなら、

左右対称形の方が、理には適(かな)っている。

 

矯正は、やりようによってはうまくいくのに、

 

 

『シス』では、マスクは極端に細面(ほそおもて)、

ヘルメットは幅広なので、盛大に隙間が空いてしまった。

 

果たしてその結果が、

↓ロボットみたいな、これ。

劇中の登場時間が短いので、

どうにかごまかせたが、

広報スチルの、原形をとどめぬ変わり果てた姿には、ひたすらガクゼン。

 

もはや黒歴史のレベルと言える。

↓こちらは、『ローグ・ワン』(2016)のベイダー。

samo

 

(夏によくある、テレビの恐怖心霊特番のノリで)

「おわかりいただけただろうか?」

 

CSマクラーレン/ブックフェイス版ROTSが永久欠番だって、

誰も困らないよね。