とびだすえほん/フジテレビのウルトラ志向(後編) | アディクトリポート

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これ(8チャンネルの「Q」と「マン」/フジテレビのウルトラ志向・前編)の続きで、
フジテレビとウルトラシリーズの関係を探る。

実はフジテレビは、
「ウルトラQ」と「ウルトラマン」を再放送枠で放送した以外にも、
ウルトラシリーズで商売した過去がある。

それはテレビ番組や放送ではなく、
出版で、いわゆる「飛び出す絵本」

「フジテレビのとびだすえほん」は、
当初はもちろん、自局で放送した番組で展開していたが、
poto
手塚治虫原作のアニメ「鉄腕アトム」(1963-66)「ジャングル大帝」(1965-66)「悟空の大冒険」(1967)「リボンの騎士」(1967-68)実写「マグマ大使」(1966-67)は、すべてフジテレビが放送。

1969年には、TBS放送コンテンツ、
ウルトラ関連の“とびだすえほん”を出すに至った。

ウルトラ大行進 (昭和44年) (フジテレビのとびだすえほん)

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↓「ウルトラ大行進」の表紙には、円谷の「マン」「セブン」以外に、東映の「キャプテンウルトラ」まで!
しゅしゅ
「ウルトラ大行進」続巻では、「マン」「セブン」(表紙にウルトラホーク1号が!)のみに絞られている。
「怪物くん」といえば、後年のテレ朝版や、日テレの大野智の実写版が有名だが、テレビアニメ第一弾(1968-69)は、「オバQ」第一弾(1965-67)と同じく、TBSで放送された。


「Q」と「マン」しか放送実績がないくせに、
他局の「セブン」「キャプテンウルトラ」「怪物くん」で商品展開するとは何事か?

その前に、フジは自局放送コンテンツの
同ジャンル番組の、
「とびだすえほん」をもっと出すべきではなかったか?

ここから逆説的に、
当時の怪獣ブーム、もしくはギャグアニメの主流は、
なんといってもTBSで、
マーチャン(派生商品・関連グッズ)に最適だが、
フジ放送の番組は、あまり向いてなかったことも読み取れる。

「怪物くん」放送時の
1968年4月21日から1969年3月23の
フジのアニメと言えば、
ゲゲゲの鬼太郎
第1シリーズ (1968年1月3日 - 1969年3月30日、全65回)
kita

だが、「ゲゲゲの鬼太郎 フジテレビのとびだすえほん」は存在せず、
他にアニメのタイトルは、
日テレの「巨人の星」しか行き当たらず、
「あしたのジョー」はない。
(※マンガ版の万創=ばんそう版ならあり・後述)

1969年と言えば、本放送中の怪獣番組は、ほぼ皆無。
それでも児童には怪獣人気は依然として高く、
となると飛び出す絵本の格好の題材は、
たとえフジテレビでも、
TBSの「ウルトラ」にせざるを得ないという事情があった。

言葉を換えれば、
マグマ大使や怪獣王子(1967-68)等の、
ねった
↑ドラマの主役造形はネッシー。主人公の少年が乗る頭部は別に作られるなど、何かと不慣れで手際が悪かった。

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いわゆる“ピープロ系”(社名・団体名は異なっても)や、
後半に怪獣がけっこう出て来る、
東映の「仮面の忍者 赤影」(1967-68)
その1〉〈その2
12
↑この貴重な「赤影怪獣図鑑」の大判元画像はこちらで
その他、こちらこちらも、ご覧ください。


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——等々を表紙にあしらった、
フジテレビ放送の怪獣番組の“とびだすえほん”
など、1969年には、もはやありえなかった、ということ。

言葉を換えれば、ウルトラマンにもウルトラ怪獣にも、
商品化が成立するキャラクター性が豊かだったが、
(相乗りしただけにすぎず、すぐに“とびだすえほん”から姿を消す)
「キャプテンウルトラ」や、
同じ東映の「仮面の忍者 赤影」
あるいは、ライバルと差別化するため、
あえてグロさに走った、
ピープロ系のヒーローと怪獣にはそれが乏しく、

↓マンガ原作のキャラを実写ヒーローに置き換える際の問題は、そのイメージギャップ。
↓たとえばこれが、
gyappu
これとか
↓これが、
かげ
これとかね。


子供に好かれ続けるまでには、至らなかった、
ということ。

フジの特撮番組が、早ければたった1年で廃(すた)れ、
放送期間が終われば見向きもされないのに、
TBSで何度も何度も再放送された「ウルトラ」シリーズは、
いつまでも長持ちした。

ところで、“とびだすえほん”といえば、
フジテレビよりも、
ばんそう(万創)を思い出す人が多いのではないか?

実際に「ウルトラ大行進」と「怪獣オンパレード」は、
ばんそう(BANSO)版でも再刊されている。

ばんそう

では、フジテレビと“ばんそう”の関係は?

ねっと

それはまた別の話なので、またいずれ。

※やるかどうかは、現時点では未定です。