デスシャドウ号からの変遷／あなたの知らないアルカディア〈その２〉

これ（あなたの知らないアルカディア〈その１・概論〉）の続き。

キャプテンハーロックの乗る宇宙戦艦の名前は、
最初はデスシャドウ号。

その外観は後方、艦尾側から描かれることが大半で、

キャプテンハーロックは、当初は「宇宙戦艦ヤマト」にも登場する予定だった。
そのため松本零士の漫画版には、初期構想通りに登場する。

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ごくたまに描かれる艦首側のデザインは一貫しておらず、
主役のカンロクにも欠けていた。

さすがにいつまでもそのままといかず、
映画『わが青春のアルカディア』（1982）で、
ようやくにして
①デスシャドウ艦首のデザインが決定し、

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うんと後年の漫画『ニーベルングの指環』（1990）に登場した、

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②デスシャドウ号とアルカディア号の中間・橋渡し的な形状の１隻をはさむ形で、
「宇宙海賊キャプテンハーロック」（漫画・1977／ＴＶ・1978）の
③アルカディア号（鋭角艦首タイプ）が登場。

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映画『銀河鉄道999』（1980）にゲスト出演の際に、
デザインが一新され、

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これ以降、アルカディア号と言えば、
④ドクロ艦首タイプの、こちらの方を指す。

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と、ここまでのデスシャドウ号からアルカディア号の変遷を、
作品内の時系列順に並べてみる。

↓上から順に、
①映画「わが青春のアルカディア」とTVの続編「無限軌道SSX」に登場するデスシャドウ号
②漫画「ニーベルングの指環」に登場するデスシャドウ号

↑③「宇宙海賊キャプテンハーロック」（漫画・ＴＶ）版アルカディア号
④映画「銀河鉄道999」以降のアルカディア号（※海賊旗が不釣り合いに大きい準備稿）

ドクロ艦首型が、
↓マッコウクジラを模したのは有名な話だが（※異説あり）、


最初のＴＶ版、「青い」アルカディア号は、
一見、なんとも捉え所のない形状だが、

何かを模したものなのか？

松本零士のラフをクリンナップした、
スタジオぬえの宮武一貫は、
艦首の先端を、ホオジロザメ
（※正しくはホ「ホ」ジロザメだが、カッコ悪いので、そのまま）
の鼻面になぞらえたといい、
なるほど艦首の造形には、
↓サメの下顎や目に相当する部分も見受けられ、左右の張り出しにあるスリットは、サメの歯を模しているらしい。

もっとも、このことはあまり知られておらず、
↑上面形が似ていることから、「イカ型」と呼ばれることが多い。

とはいえ、
番組中でアルカディア号の真上が出て来たことは、
一度もない（はずな）ので、

よくぞイカとの形態の類似性に気づいたものだと、
個人的には思うけど。

まったくの余談だが、イカは「烏賊」と書き、なんとなく「海賊」を連想させるのも、何かの縁かも。

ところで、アルカディア号がホオジロザメを模したのには、所以（ゆえん）がある。
零時社（松本零士の個人プロダクション）が「ハーロック」の企画書を作ったのは、
「宇宙戦艦ヤマト」終了直後の1975年中と、かなり早い。
この時点で、すでにアルカディア号のデザインは完成していて、



同じ1975年には、ホオジロザメの恐怖を描いた映画『ジョーズ』が、アメリカで夏に大ヒットしていた。



日本公開は1975年12月６日。

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由来がホオジロザメなのをほのめかすように、
艦本体を上下で塗り分けた画稿も存在する。

もっとも↑このアニメ版は、下から強い光が当たっている表現だと思われるが。

また、原作漫画版（1977）では、後のドクロ艦首タイプ同様の、
↓軍用グリーン（オリーブドラブ）だった艦体色が、

↑アニメ版（1978）ではブルー系だったのも、サメと関連しているのかも。

今回の記事に、あなたの知らなかったアルカディア号の情報はあったでしょうか？