ハル・ラスコー(後編)/才能と年齢(3-2) | アディクトリポート

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昨日(ハル・ラスコー・前編/才能と年齢・3)
前フリだけで終わってしまった、
この記事より。

診断上は全盲の97歳、
油絵の具とカンバスを
パソコンの描画ソフトに置き換え、
傑作を次々に生み出す。


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現役時代はグラフィックデザイナーで、ラスコー家の祖父としてオハイオに住んでいるハル氏は、一時期は絵を書き続けられるかが危ぶまれたが、今では作品を販売し、個展を開くまでに。

ジェシカ・ジェリート記者
By Jessica Jerreat

2013年7月28日

現在97歳のハル・ラスコー(Hal Lasko)は、
10年前から視力が弱まり、もう絵は描けなくなるだろうと考えていた。

しかしパソコンと、マイクロソフト社の基本描画ソフトのおかげで、
オハイオ在住で、ラスコー家の祖父は、
事実上は盲目ながら、創作の才能を今も発揮し、
引退生活を満喫している。

この8月で98歳を迎えるハル氏は、かつてはグリーティングカードの会社で、レタリングを担当していたが、ウォーレン・キンブル(Warren Kimble)や、
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エドワード・ホッパー(Edward Hopper)を彷彿とさせる作品を、
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1点につき、98ドルで販売している。

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ピクセル(画素)で絵を描くアーティスト:視力を失ってから、ハル・ラスコー氏は、パソコンで絵を描くようになった。

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ラスコー氏がパソコンの基本描画ソフトで描く作品は、ウォーレン・キンブルやエドワード・ホッパーの作品と比較される。

ロッキーリバーで息子のロンと同居のラスコー氏は、
「だんだん視力が弱まってきて、もう絵は描けなくなるだろうと覚悟していた」
と、ABCニュースの記者に語った。

第二次大戦に従軍当時、天気図を作成して以来この方、一貫してグラフィックアーティストとして活躍して来た氏にとって、失明の宣告はつらかった。

加齢黄斑変性症のために、以前のように、油絵にもアクリル画にも取り組めなくなってしまった。


しかし1999年のこと、作品をもっと大映しでながめられて、はっきりと色を見分けられればいいのではと、家族がパソコンをプレゼントしてくれた。


自分の祖父ハルの作品に関する記録映画を作った、彼の孫、ライアン・ラスコーはこう語る。
「おじいちゃんには、マイクロソフトのペイント(OS付属の基本描画ソフト)がぴったりだと思ったよ。あんのじょう、見せたらたちまち夢中になっていた」

$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-ゆきき
繊細かつ緻密。風景や動物の絵は、1ピクセルづつ、こつこつと描き上げられていく。

$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-つき
ひたすら楽しい。グラフィックデザイナーとしての長年の現役を終え、97歳のラスコー氏は、顧客のためでなく、自分のために絵を描けることを堪能している。


「パソコンとソフトが、おじいちゃんにとってどれだけ大切なのかがわかったのは、うんと後だったけど」


ラスコー氏は記者にこう語る。
「すっかり視力が弱まって、絵筆を握るのは厳しくなっていた。パソコンに移行したのはそのためさ。うんと大映しに出来るからね。筆で絵を描くのを学んでいったプロセスを、パソコンでまた一からやり直すようなものだった」

村の風景、紅葉の森林、ステンドグラス----ラスコー氏が自宅のアトリエで生み出す作品はどれも繊細で緻密、そして美しい。


制作にはとんでもなく時間がかかるが、オハイオで個展を開いた際に、彼はこう述べている。
「たとえ1点描き上げるのに2年かかろうが、かまわない。辛抱強い方だからね」

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「家族の絆」 ハル・ラスコー、息子のロンと共に、1949年。二人は現在同居している。

$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-らすこー

辛抱強さ。ハル・ラスコーが一点描き上げるのに、恐ろしく時間がかかるが、彼はその全行程を楽しんでいる。

記録映画(前回紹介)の中で、ラスコー氏はこうも語っている。
「もはや仕事ではなくなってるから、ひたすら楽しいよ。仕事だったら、クライアントに気に入られようとか邪念が入るけど、今なら自分の思い通りにできるからね」


絵の制作を続けられたことで、数年前に妻に先立たれた哀しみが埋め合わせできているのではと、息子のロンは考えている。

涙で声を詰まらせながら、ロンはこう述べる。
「父が年齢のことで不満を述べるのを聞いたことがありません。死について口にすることもない。たぶん頭の中に、その考えがないんでしょうね」


パソコン画家のラスコー氏はますます健在。
今週末の98歳記念祝賀会で、直筆サイン入りの8点のプリント(版画・複製画)が、専門サイトで98ドルで販売され、収益の1割が、退役軍人会に寄付される。


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