「アイアンシェフ」
言わずと知れた「料理の鉄人」のリメイク番組。
で、「アイアンシェフ」とは、もともとは「料理の鉄人」の海外タイトルだった。
「鉄人」は海外のテレビ賞まで獲得したが、それを聞いて思ったのは、
「かえって日本の恥をさらすことになったんじゃ？」
だった。
いえ、番組の内容そのものは、すばらしいと思ってましたよ。
ただ、音楽がねえ。
まんまハンス・ジマーの『バックドラフト』のサントラ流用だったんで。
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アメリカ人が見たら
「なんでまた、『バックドラフト』の音楽？」
って思われるだろうなって。
アメリカはテレビ番組だってお金をかけるから、各番組で独自の音楽を当然つくるはずだし。
日本のテレビ界のＢＧＭ事情にふれておくと、
映画音楽専門CD店「すみや渋谷店」（2008年閉店）には、
常連客にテレビ番組制作の音楽担当がいて、
すみや渋谷店に新入荷したタイトルの音楽が、すぐさまバラエティ番組に使われたりしてた（日テレが顕著だった）けど、
そういう安直なことは、映画大国のアメリカじゃ、権利上も絶対にありえないから。
それとも「鉄人」を海外で放送する時は、音楽だけ差し替えるんだろうか？
実態を知る機会は、アトランタオリンピック開催中の、1996年の夏にやって来た。
この夏は、ロスの個人宅に長居したんだけど、まだ家庭にはネット環境なんて未整備の頃で、やることがなく、地上波のテレビを見て時間つぶしするしかなかった。
ロスは多民族都市なので、地上波に１局だけ国際チャンネルがあって、放送時間を１時間区切りで各国で分け合っていて、そこで日本の割りあて番組を見た。
番組ごとに分担が異なる民放局で、O157のニュースは、日テレから鷹西美佳（たかにし・みか）アナが伝えていた。
フジの「あっぱれさんま大先生」のＣＭは、放送前後はアメリカのＡＴ＆Ｔ（日本語）に差し替わってるんだけど、中ＣＭは日本国内放送そのままで、
「ESSE（エッセ）最新号は…」と、（フジテレビ発行の雑誌だから、本来はフジテレビ・関西テレビなど全国のFNS系列局のみで放送されるはずの）ＣＭが平気で流れていた。
「ロスじゃ、ＥＳＳＥ買えないだろ！」とツッコミながら見ていた。
当時だったら､ヤオハン（現・ミツワマーケットプレイス）に行けば、買えたのかなぁ。
んでもって、「アイアンシェフ」（＝「料理の鉄人」のこと）は、吹き替えでもなければ英字幕表示があるわけでもなく、日本の放送そのまま。
ただしもちろん、オンエア日だけは、かなり日本の放送日からずれて放送されていた。
だから音楽も当然、「バックドラフト」そのままだった。
楽曲使用料だけ払えば、別にかまわないってことなのか。
「日本なんて、その程度でしょ」というアメリカ側の余裕で、何も言ってこないのか。
そもそもクレームつけられたところで、番組側に、いちいち直す手間なんか、かけるつもりがないのか。
とにかく、そのまんま放送されていた。
そんなこんなで、日本では『バックドラフト』のサントラＣＤには、
「料理の鉄人の音楽！」
と、本末転倒なタスキがつくようになった。
バックドラフト オリジナル・サウンドトラック
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サントラ
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この前の「ある日どこかで」もそうだけど、
ユニバーサル作品のサントラって、ほんと「出しときゃいいんだろ」的な、やっつけ仕事が多く、
「バックドラフト」も同様だったので、
2005年に見かねた？ミランレーベルが、音質を向上させたリマスター版を発売。
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曲数も収録時間も同じ…ではセールスポイントに欠けるので、おまけ？にジマーのインタビューが収録されている。
当初は、偉大な先人のジョン・ウィリアムズなんて、はるか遠い雲の上の人で、自分なんて足下にも及ばないと思ってたんだとか。
余談だが、Zimmerは、本来のドイツ語読みでは「ツィマー」で、「部屋」の意味。
さて、今回（2012）の「アイアンシェフ」の音楽は、さすがに新作曲で、担当は初戦の審議員もつとめた千住明。
鐘の音で始まるなど、明らかに「バックドラフト」路線を踏襲しつつ、１フレーズ足りとも原曲を超えないうえに、ランディ・エデルマンの「ゲティスバーグ（ＴＶ 日本未公開）」みたいなのまで、１曲あったぞ。
Gettysburg: Music From The Original Motion Picture Soundtrack
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おまけに、しんみりした場面に流れた曲は、またしてものハンス・ジマーの『パール・ハーバー 』を、そのまま使用。
Pearl Harbor
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って、なんでやねん！
正真正銘の本物の料理人を見極める番組の音楽が、なぜにこれほどニセモノチック？
そんな人が料理を審査したってなあ…。
と、放送終了３時間以内に書き上げた今回の記事、いかがでしたか？