〈その3〉はなく、これで終わりです。
思えば、『タイタニック』って、目立った評論がありませんよね。
考えられる理由は、
*評論を必要としない。
「観ればわかる」から、評論の出番がない。
そう考えると、「評論が必要な映画」って、
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(観客は評論とつきあわせて作品を鑑賞するとは限らないから)
単体で成立しないという意味では、
「不良品」とか「欠陥品」かも知れない。
*評論が太刀打ちできない。
キャメロンは確信を持って作品をつくり、意図したことが観客にすんなり伝わることに注力しているから、生半可な評論では太刀打ちできない。
言葉を換えれば、しょせんは評論家ごときで、なにごとか語れるようなレベルでは作品をつくっていない。
というわけで、自称作家の私が、前に観たときには気づかなかったが、
今回IMAX 3Dで再見して、気がついたことをエラソーに語りますよ。
「そんなの、今さら気づいたのかよ」
と思われた方はゴメンなさい。
あれこれ話を広げずに、なるべく絞ると、
よく無思慮な映画とか小説って、
「なんでお前が、都合良くその場に居合わせる?」
っていうのがありますよね。
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実は『タイタニック』にも、それめいた場面がないわけではないんですが、これは本作では、きちんと作品の「しきたり」に則っていて、ご都合主義ではないんです。
婚約者のキレぶりに恐れと絶望をなしたローズは、
気がつくとジャックの元へと身を寄せていて、
そこはタイタニック号の舳先(へさき=船首)。
「なんで都合良く?」と一瞬思いましたが、
よくよく考えて、納得が行きましたね。
この映画では、
船首は希望と命を表し、
船尾は絶望と死を表す
からです。
ローズは船尾で身投げをしかけたところで、ジャックと出逢い、
命拾いします。
まあ、「なんでこの時、ジャックがここにいたのか」
ってのはありますけど、
二人を出遭わせなくちゃ話は始まらないし、
方針が首尾一貫してるんだから、いいんじゃないでしょうかね。
で、さっきの婚約者に失望したローズの足が、どうして船首に向かったかというと、
それはもちろん、あの名シーンで、
ジャックに船首で希望を与えてもらったからです。
というわけで、ジャックは当然、
そこに居合わせるべきだったのです。
くどくど説明しませんが、後半の展開も、この方針に則っているのが、おわかりいただけると思います。
いかがでしたか?