話の流れがヘン（３）／心ゆさぶれ！先輩ROCK YOU

先輩ROCK YOUという番組をご存じですか？

レギュラーの顔ぶれが、こちら。

今週末の３月17日は、岩代太郎と川井憲次が出演する。

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先週の３月10日は、ものまねタレントがメインだったが、

後半で、ファインモールドの代表鈴木邦洋氏が取り上げられた。

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だが今日の記事で取り上げるのは、それよりさらに１週前の、３月３日放送分。

ゲストは作家の、石田衣良と百田尚樹。

話は文学賞に移り、
賞によっては1000篇以上の応募があり、
受賞してめでたく作家デビューしても、５年以内に大半が消えてしまい、ほとんど残らないと言う話に。

それが意味することは？

番組はこの後、
ドラマ風の映像を見て、それを小説風の文章に仕立てる、
いわば模擬作家体験に。

ＪＯＹなんかは、なかなか達者で、プロの作家が書いたのと遜色のない文を披露し、石田も百田もそれを認めていた。

そして両作家が見本を示し、面目を保った。

これって、話の流れがヘンですよね？

番組の前半で、文学賞が作家育成に寄与していない実態が語られたということは、
＊文学賞の選者や選考基準が、プロの作家としての才能を見極めることにつながっていないし、
＊たとえ受賞する実力を持っていても、その人がプロの作家として通用することの証でもない
わけです。

だけど番組後半でやったことは、
こうした文学賞の、模擬選考みたいなもんです。

まあ、テレビ番組の１コーナーに、日本文学界の抱える問題を改革するようなことを期待してるわけでもありませんが、この方法がおかしいってことを、果たして２人のプロ作家は、気づいていたんでしょうか？

ちなみにお二人の本は、１冊も読んだことがありません。

こう書くと必ず、「読んでからものを言え」という、ド素人のクソ意見（※映画「ブラック・スワン」がらみで、「今敏監督の作品を観てから記事を書け」と、執拗にコメントしてくるヤツがいますが、それと同様のゴミ意見）が出て来ますが、
他者の作品に何作触れようが、自分の創作のスキルは上がらないし、
反対に自分で実際に創作に取り組んで行けば、他者の作品を参考にする必要などないことがわかってきます。
他者の作品に頼りすぎるとパクリの恐れもあるし、逆説的に、自分で何作か創作に取り組み、最後まで仕上げた経験があれば、世間一般にまともな作品として認識されているものだって、ダメなものはダメと、簡単に見分けがつくようになります。

こう言い切ることができるのは、実際に創作活動をした者だけに与えられた権利です。

日本の文学・小説界の「間違いだらけ」の実態は、
「何を書くか」ではなく、「どう書くか」ばかりに腐心していることです。

たとえば「雨が降っている」ということを、どれだけ文学的表現を盛り込んでも、
言っている中身が、ごくごく当たり前の「雨が降る」ということだけでは、読み手の心は動きません。

せっかく文学賞に受賞しても、読者の支持を得られないままで終わるのは、作家がそのことに気づかずに書いていることを見透かされて（＝見抜かれて）、読者にまるで感心も共感もしてもらえないからです。

そうではなく、いかに当たり前の平易な表現で、これまで誰も語ったことのない独創的な話を紡ぐかこそが、創作者に求められる資質なのに、作家も出版社の人間も、そのことにまるで気がつかずに、百年一日のごとく、「どう書くか」ばかりに気を取られ続け、手垢のついたありふれたストーリーばかりを使い回している。

脚本家でいえば、北川悦吏子とかは相当に重傷だと思う。