「正伝ルパン3世」公開の経緯〈2〉 | アディクトリポート

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その1

さて、ではなぜ、二次創作の対象にルパン三世を選んだのかと言えば、現路線の先行きが行き止まりだと判断し、もしもこのキャラを存続させるなら、新展開や再起動が必要だと感じたためである。

もしもそれをやりきったら、少なくとも私のキャラクター再生の手腕は認められるし、実際に他作品への応用はいくらでも可能でもあるし。
それは本来、私がやりたいことからは遠ざかってはしまうけど。

ルパン三世の実際や現状を述べておくと、送り出し側(アニメやマンガ関連会社)の意向としては、ルパンを永遠のキャラクターとして定着させるべく、まずは年齢設定が変更され、今では全員、年齢不詳になっている。
つまりサザエさんやクレヨンしんちゃんみたいに、歳をとらないキャラクターに変更された。

ところが声優の交代が(ルパンだけはあったものの)、誰かが死ぬまでありえないし、声優陣がのきなみ高齢化していることもあって、次に誰かが死んだら交代はないまま、アニメのルパン三世は終了するんではないかと勝手に見込んでいる。

そう推測する根拠。

http://www.youtube.com/watch?v=q8eZaJOygcc
http://www.youtube.com/watch?v=4HCepOlfGEY
http://www.youtube.com/watch?v=jD5DaGkJHqg

つまりアニメ「ルパン三世」というのは、もう先が見えちゃっているのだ。
納谷悟郎(総入れ歯でフガフガ)か、井上真樹夫(もうほとんど声が出ない!)か、小林清志か、増山江威子の誰かが亡くなったら、そこで打ち止め。

だとすると、アニメの「ルパン三世」の新しい企画なんか、考えない方がいい。
もしも画期的な1本を供給しても、「今年のスペシャル、面白かったね」程度で、これまでに生み出された何百本に埋もれてしまう。
アニメという手法で、現在の「永遠に歳をとらないルパン」路線の延長で、もはや新味も出しえないしね。
だいたい、若いはず(30代後半とか40代前半)のキャラでも、のきなみヘロヘロの老人声だから、どんなドラマを展開しても説得力がないという致命的な問題は解消されっこない。

だったら、実写映画のルパン三世だったら、どうだろう?
つまり現行のマンガ/アニメ路線から決別し、ルパン三世フランチャイズに新たな枝葉を付け加える。

実写ルパンというと、アニメやマンガ以上に荒唐無稽でふまじめな「念力珍作戦」(1974)

しか先例がないから、あまり良いイメージがわかないだろうが、もちろん私が考えている実写映画というのは、「アニメだから」「マンガだから」で許された部分を排除して、実写ならではのリアリティを加えたものである。

そうすると現行のマンガ/アニメ路線とは当然異なる部分が出てくるから、はっきり区別をつける目印として、
*ルパン「三」世ではなく、ルパン「3」世とし、
*「サイドストーリーとかファンノベルとか,余話とかじゃなくて、これこそが正真正銘の生身のルパンの物語だったんですよ」と示すために、あえて堂々と「正伝」と銘打つ。
だけど「ルパン3世正伝」では、「るぱんさんせいせいでん」と「せい」が2回続いて言いにくいから、「正伝」を頭に持ってくる。

さて実写となると、演ずる生身の俳優は歳をとっていく。
そここそが実写のリアルなところ。

であればなおさら、実写のルパン三世は、しっかりと年齢設定をした方がいい。

そもそも怪盗ルパン、アルセーヌ・ルパンは、話の中身は荒唐無稽だったけど、現実世界に実在する意気込みで描かれていて、時と共に歳をとるリアルなキャラだった。

アルセーヌ・ルパン年譜
● 1874年(0歳)
誕生。幼名ラウール。父は体育教師にして詐欺師のテオフラスト・ルパンで、ラウールが幼い頃に米国で獄死する。母はアンリエット・ダンドレジー。夫を失ったアンリエットは、幼いラウールをつれて少女時代の学友、ドルー・スビーズ伯爵夫人の元に身を寄せる。
● 1880年(6歳)
最初の事件。(『女王の首飾り』)
● 1893年(19歳)
初めてアルセーヌ・ルパンを名乗る。(『アンベール夫人の金庫』) この頃、娘が生まれる。
● 1894年(20歳)
修道院の財宝を巡る最初の大冒険。クラリス・デティーグと最初の結婚。(『カリオストロ伯爵夫人』)
● 1894年~1899年(20~25歳)
この頃、『奇岩(巌)城』を発見する。
●1899年(25歳)
息子ジャンが誕生するも、クラリスと死別。更にジャンは誘拐される。(カリオストロ伯爵夫人) アメリカ行きの豪華客船の船上にて、ガニマール警部に逮捕され、これが最初の逮捕となる。(『ルパン逮捕される』)
● 1900年(26歳)
最初の脱獄。(『ルパンの脱獄』) シャーロック・ホームズ(原表記は版権回避のため文字をずらしたエルロック・ショルメ)との初対決。(『遅かりしシャーロック・ホームズ』)
● 1900年~1901年(26~27歳)
シャーロック・ホームズとの二度目の対決。二度目の逮捕と逃亡。(『金髪の美女』)
● 1903年(29歳)
シャーロック・ホームズとの三度目の対決。(『ユダヤのランプ』)
● 1905年(31歳)
宝冠事件。三度目の逮捕。逃亡。(『ルパンの冒険』)
● 1906年~1907年(32~33歳)
部下の独走から、フランス政界の疑獄事件に巻き込まれる。(『水晶の栓』)
● 1907年(33歳)
二度目の結婚。(『ルパンの結婚』)
● 1908年(34歳)
三度目の結婚。シャーロック・ホームズとの最後の直接対決。(『奇岩城』) 古代ローマの遺跡発見。(『緑の目の令嬢』)
● 1909年(35歳)
この頃、パリにて探偵社開業。ベシュ刑事との奇妙な連携で次々と事件を解決する。(バーネット探偵社)
● 1910年(36歳)
「謎の家」事件。ベシュ刑事との対決。(『謎の家』) オルタンス・ダニエル嬢と八つの冒険を行う。(『八点鐘』)
● 1911年(37歳)
ベシュ刑事の依頼でバール・イ・ヴァ荘を訪れる。(『バール・イ・ヴァ荘』)
● 1912年(38歳)
四度目の逮捕と投獄。二度目の脱獄。イタリアにてドイツ皇帝と握手をする。直後、ティベリウスの断崖(フランス北部、エトルタ)から身を投げ、自殺。しかし死にきれず、ドン・ルイス・ペレンナとしてモロッコに現れ、外人部隊に入隊(『813』)
● 1912年-1919年(38~45歳)
この頃、モーリタニア帝国を征服し、スルタン(皇帝)に即位する。
● 1915年(41歳)
第一次世界大戦。フランスの金塊の国外流出を食い止める。(『金三角』)
●1917年(43歳)
ブルターニュ地方の島にて、「人を生かしも殺しもする神の石」を発見する。(『三十棺桶島』)
● 1919年(45歳)
五度目の逮捕。モーリタニア帝国スルタン退位。主権をフランスに譲渡。四度目の結婚。(『虎の牙』)
● 1922年(48歳)
国防債権事件。(『特捜班ビクトール』)
● 1923年(49歳)
息子ジャン(24歳)と思われる青年と邂逅する。(『カリオストロの復讐』)


だからルパン三世も最初は年齢設定があり、後継者に譲る試みが2回なされ(「ルパン小僧」「ルパン8世」)、どちらも失敗。
ルパン三世が思いがけず成功しすぎ、後継にそれ以上の成功が見込めなかったからだ。

では実写版を企画するなら、どこから物語をスタートしたらいいだろう。

かねてよりの私の疑問は、
「そもそもフランス人のルパンが、どうして日本に来たのか」
ってことだった。

だったら、そこから始めるのがいいんじゃないか?

テレビシリーズが実在のルパンの活躍を下敷きにしてつくられた、というノリで行くなら、第一シリーズが本放送された1971年秋から72年の春の、1年くらい前には来日してたほうがよさそうだ。
銭形に捕まって、1年刑務所に入ってたしね。
原作開始は1967年だけど、それを考えるとうまくいかないんで、カリオストロは映画通り1968年の話ってとこだけ尊重して、年齢設定を組み立てた。

ルパン2世のジャンのことまで考えあわせて、ルパン三世の年齢を特定する。

そしてできあがった年齢設定がこれ。

ルパン三世は1939年生まれで、この1970年に31歳。
次元大介は1936年生まれで、この年に34歳。
峰不二子は1946年生まれで、5人の中では唯一の戦後生まれ。この年に24歳。
石川五ヱ門は1940年生まれで、この年に30歳。
銭形幸一警部は1920年生まれで、この年に50歳。


並行して、実写作品にふさわしいストーリーを考える。

テレビ第1シリーズで謎のままに終わったのは、ルパン帝国という組織の存在だった。

マンガ原作では----

ルパン帝国
ルパン帝国は二か所あり、一つは第11話「健在ルパン帝国」の二世によって作られたルパン帝国。作者モンキー・パンチが助手として働いていた「浜中診療所」があることから、場所は北海道のようである。もう一つは、第91話「我が盗争(その1)」から最終話に登場するルパン帝国。こちらは先祖代々伝わる島である。

ルパンの部下たち
ルパンにはいつも次元や五ェ門などの仲間しかいない、というイメージがあるが、ルパンには地下組織があり、多くの部下を持つ設定である。もっとも描かれることは極端に少ない。最終話までに登場した部下をここにまとめる。
* 贋ルパン(第4話)
* 女(第5話)
* おかかえ科学者(第7話)
* ハンマーの岩鉄 - 九州支部所属(第19話)
* 風の三太夫 - 四国支部所属(〃)
* 峰不二子 - 北海道支部属(〃)
* 科学者、見張り - 墓地地下アジト(第16話)
* 建設現場主任(〃)
* 逮捕された1967人(第22話)
* G(第50話)
* K(〃)
* 船員(第70話)

----ということだが、アニメではルパン帝国はセリフでほのめかされこそすれ、手下は実際には誰も登場せず、またその本拠地だとか施設も、最終話で登場たちまち崩壊してしまう。

ではルパン帝国の実態を描いてみよう。

こうして執筆し、できあがったものの第1章が、今週公開中のものである。

つづく(毎日昼12時更新予定)

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