ボルト3D吹替版 | アディクトリポート

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今回はディズニーとピクサーについて。

思えば『WALL・E/ウォーリー』(2008)は、ひどかった。
$オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-うおりゃ
一時期のピクサーは、
「世の中にこんなに才能のある人たちが隠れてたの?」とか、
「どこまで技をきわめて行くの? 人間の想像力(創造力=創作力)には、限界がないの?」
と思わせるほどに勢いがあった。
特に同社の映画の配給にあたっていたディズニーの凋落ぶりと比べると、その破竹の勢いには頼もしくも空恐ろしいものを感じた。

ではあるが、職人芸の固まりの『バグズ・ライフ』(1998)とか
$オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-bagu
これまた当時の最高水準のレベルで仕上がった『レミーのおいしいレストラン』(2007)みたいに、
$オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-rata
職人の技が光る逸品が評価されずに忘れられがちな一方で、キャラが立っている『WALL・E/ウォーリー』は、『TOYストーリー』(1995)などの成功作路線の延長として受け入れられた。
$オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-1995

『WALL・E/ウォーリー』を「ディストピアもの」として評価したり、「ダークだから傑作」と位置づけるのであれば、それは本質を見抜いているから正しい評価だと思うが、「ウォーリーとイヴ(イヴァ)がかわいい」とか「ロボット達がけなげ」という上っ面だけでしか作品を観てない人に、「これって徹底的な人間不信と人間の存在否定の映画ですよ」と指摘すると、「どうして悪意と色メガネで、こんな善良な作品をこき下ろすんだ」と抗議されたりもした。

いや、あんた、この映画、悪意バリバリでしょって!

たとえばドロボウの現場を目撃して、警察に通報したとする。
犯人は、近所でも評判の善い人だったとする。
そしたら通報者の俺が、「あんな善い人をドロボウ呼ばわりするなんて、あんたはなんてひどい人だ!」と責められる。
なんか、そんな気がするんだよなあ。

俺が別に観客をあざむいたわけじゃなくて、そういう作品だから、ありのままにそう説明しただけなのに、なんで作品はファンに擁護されて、指摘した人の方が責められなくちゃいかんわけ?

とにかくそんなこんなで、『ウォーリー』の空疎化とか内容の酷薄ぶりをみると、表向き親会社になったディズニー同様、ピクサーの先行きさえあやぶまれた。

実際は子会社に乗っ取られたディズニーが「もうセル(風)アニメはやめて、CGアニメに完全移行します」とマヌケ宣言して、できあがったのが、「チキンリトル」(2005)と
$オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-roturu
「ライアンを探せ!」(2006)と、
$オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-wairudo
1年前に公開されて類似性が指摘された『マダガスカル』(2005)の、キャラのイキイキした様子↓に比べて、全員死んだ目のブキミな『ライアンを探せ!』↑
$オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-マダ
「ルイスと未来泥棒」(2007)ぐらいで、
$オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-ミート
最後の『~未来泥棒』だけは、ラセターが少しだけからんだことで、まだいくぶんましだったものの、キャラクターが定着しないという意味ではやはり失敗。
平面アニメ時代の低迷ぶりからの完全脱却は道険しといった感じだった。

そのうえ、本家ピクサーでさえが、おごりや慢心から『ウォーリー』なんか作って平気な顔してるし。

というところに現れた『ボルト』
$オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-ボルト

やればできるじゃないか!

もちろん、「トイ・ストーリー」のオモチャ(ウッディやバズ)が犬のボルトに、
「トイ・ストーリー2」のジェシーが猫のミトンズに転化され、
そして芸能界の子役の構図は、「リトル・ミス・サンシャイン」なだけじゃないかと言われれば、たしかにそうではあるけれど、だからといって奇をてらった結末に持って行かずに、鉄板、王道の結論、人への裏切られぬ信頼に帰結するところに、まともさ、確かさ、作り手の良心と気概を感じた。

やっぱ、こうやるべきでしょ。

で、物語の舞台は現代っぽくなってはいても、実は微妙なシフトがされていて、これは「トイ・ストーリー」のウッディ人形が、アンディという現代の少年が手にするにはあまりに古すぎるために、どうも20~30年近くさかのぼった時代の話らしいのと、これまた似通っている。

犬のボルトに撮り直しを味わわせるのは禁物というストーリーラインのために、画面にマイクが入ると現場は大騒ぎになっている。
だけど現代ならデジタルで消せばいいから、それはそんなに大した問題ではないはず。

そういう視点で見つめ直すと、特殊効果も大半が現場で実際に行われていることに気づく。

ジョン・パウエルの音楽に即した、ハムスターのギャグが秀逸。
こんなギャグ、初めて見たよ!

そういう秀逸さをさらに際立たせるのが、本筋と無関係に詰め込むギャグを考えるストーリーアーティストが少なく、またでしゃばっていないこと。
こここそがまさに、ディズニーとピクサーのアニメを分けるポイントとでもあったから。

併映の「カーズ」番外編とも併せて、ディズニーよりはピクサー作品として認められる。

3D上映のため、吹き替えで見たけど、とりたてて不満は感じず、むしろ大満足。

見逃さないでよかった!

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