25 | 空痴漢

空痴漢

次の痴漢の衝動が空を切るために。

話を戻すと、職場に異動してきたBさんの目を過剰に意識したわたしは、「Bさんに冴えない男として見られている」という妄想に耐え切れなかった。


あるいは、「Bさんは、わたしを冴えない男と認識するほどの関心もわたしに持っていなかった」というのがもっとも現実に近いとは思うが、「自分が意識している女性が、自分になんの関心も持っていない」というのは、それはそれで耐え難かった。


そのあたりがいかにも子どもっぽい。


「みんなが自分に興味を持ってくれるはず。なのに、どうしてボクを見てくれないの」といったところだろうか。