映画:さや侍 | あなたの知らないひとのあたまのなか。

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松本人志監督最新作「さや侍」を観ました。


ストーリーは、以下のとおり(gooから引用)

”伊香藩水位微調役であった野見勘十郎は、侍として戦う事をやめ脱藩、娘のたえを連れてあてのない逃避行を続けていた。彼は刀を捨て、腰には鞘のみを差しており、そんな父に対したえは反発していた。懸賞金がかけられた勘十郎は、多幸藩の追手によって捕らわれの身に。そんな勘十郎に対し多幸藩主は奇抜な試練を与える。それは、笑顔を忘れてしまった若君を笑わせる事が出来れば無罪放免、できなければ切腹というものだった…。”


主演の野見隆明さんは、なんと素人俳優。
以前、松本監督の番組に出演したのがきっかけとかで、大抜擢。
それにしても、元々セリフが少ないので、難しい演技だったように思えます。
かっこいいセリフで変に誤魔化しきかないし。

そんな彼を助けたのが、たえ役の熊田聖亜ちゃんでしょう。
とてつもない演技だなあと感心しちゃいました。
刀を持たぬ情けない父親に、さっさと腹を切れと言い続ける気強い娘。
昔だからこその、父親を想う娘のあり方なのでしょうね。
でも、話が進んでいくうちに、「刀」だけがすべてではないのだと気づいていく。
そういった心の変化を機微に演じています。

そして、終盤の場面で登場したのが竹原ピストル!!!
正直、これにはびっくり。
まあ、でも松本さんらしい人選なのかもしれません。
元々知り合いだったのかなぁ?

声が・・・声がイイ!と思って聴いてたら、本人という。
『野狐禅』追っかけて長野まで日帰りで言った大学時代を思い出した。

彼の情緒あふれる歌声で、不覚にも涙が流れました。
まあ、その前からちょっと泣きましたがw


と、時代劇ではありますが、やはり人間、特に親子の絆には時代が変わっても変わらない「普遍性」みたいなものがあるのだなあなどと。
前回のエントリーで、東宝の川村さんの話もありましたしね。

時代性としては、なんでしょう。
野見のように、”背中で語る”親というのはいなくなりましたね。
いや、野見だって決して強いオトナではないし、むしろ力関係でいったらたえの方が強いんだけど。
でも、言葉よりも行動で、見せる。
迷いながら、逃げながら、彼は少しずつ”決意”に向かって行くわけです。
そういう姿を、子どもはしっかりと見ていなければならない。

今は、親と子どもが友だちみたいになっているとよく聞きます。
親を◯◯ちゃんと、下の名前で呼ぶ子どもがいるようです。

「泣き」という普遍性と、今の”親子関係”という時代性を反映させた映画、
とでもいうんでしょうか。
あ、これは私が勝手に推測しているだけですんで。



と、ここまではよかったんですが。
ところがどっこい、最後のシーンだけはいただけません。
最後の2分で、一気にこの映画に対する評価が激落ちしました。

どうして潔い終わり方にしてくれなかったのか・・・
これから観に行く方には、竹原ピストルが歌い終わる場面のあとスグに劇場をでられることをオススメします。(本気で)

かなり評価が難しくなりましたが、監督が作ったという意味で映画全編を評価すると、

オススメ度:★★★ (観る価値はある)

個人的には、最後のシーンがなければ4.5くらいの評価です。