映画:「星を追う子ども」 | あなたの知らないひとのあたまのなか。

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$あなたの知らないひとのあたまのなか。-星を追う子ども


新海誠監督の最新作「星を追う子ども」を観ました。

去年は「秒速5センチメートル」が大ヒットしましたね。

$あなたの知らないひとのあたまのなか。-5センチ

わたしは友人にこの作品を激プッシュされて初めて新海さんの世界に触れました。
しかし、もう、圧巻の一言につきます。

日本のアニメーションは、ここまで来たか(全然詳しくないですけど)
素人目にも、その映像技術の高さはうかがえます。
でも、新海さんの作品を見て感じたのは、彼は技術屋さんじゃないなーということ。

ってゆうのも、どんだけ優れた技術を持っていたとしても、
ひとつの”作品”にするには人の心を動かすストーリーがなくてはならない。
むしろ、ストーリーさえキャッチーであれば、正直テクニックなんてなくてもいいと言い切ってもよいと思っています。

秒速5センチにしても、本作品にしても、もう、もう涙なしには見れない?!
映画館のポスターには、

「それは、”さよなら”を言うための旅」

とありました。(これは観終えたあとに、目にしたもの)
ああ、なんてこの映画にあったコピーだろう、と勝手に感心。

<概要>
中学生の女の子が、ふとしたきっかけから、”遠いところ”から来た少年と仲良くなり、淡い恋心を抱いはじめる。しかし、彼は掟を破って地上世界に来たため寿命が縮まり、であってすぐに死んでしまう。
彼女は、死んでしまった彼を生き返らせようと、彼が来た世界へと旅立つ方法を模索する・・・


我ながら、本当に物語の表層しか掬っていない概要ですが(笑)
大事な人の”死”という事象をとおして、登場人物たちは色々な意味での”さよなら”をするのです。
このストーリーには、実はもう一人、誰かを生き返らせようとしている人物が登場します。
この人物と主人公、そしてその他のキャラクターとの関わり、関わる中でのそれぞれの考えの変化が緩やかに淡く起きていきます。


”生死とエゴ”

(これ以降は若干ネタばれなので、観ていない方は飛ばしてください。)






最後に、主人公が

「わたしは寂しかっただけなんだ」

と、ぽつりとつぶやくシーンがあります。これが、頭から離れない。

人が、大切な人の死を乗り越えられないで(極端な話)、生き返らせたい、と思うのはある意味残された者の究極のエゴだと言えます。死んでしまった人がどう思っているかなんて知る術もないのですが。

主人公が淡い恋心を抱いた彼は、彼の世界(地底)では決して見ることのできない星空を見るという夢のために寿命を縮めてまで地上世界に来たのです。
一方で主人公は、彼を生き返らせなきゃ!という一心で、怖い魔物がうろつく地底の世界に足を踏み入れ、自分の生命をも危険に晒します。

そして、旅の終盤で気づいた。
自分はなぜ、彼を生き返らせようとしているのか。
これは、同行していた彼女の学校の臨時担任の先生(彼は奥さんを10年前に亡くしている)のあくなき死者再生への執念を間近で見ている中でも、自分への問いかけになっていたのでしょう。
彼女は、自分が彼を生き返らせたいという理由以外に、彼を生き返らせる理由を見つけられなかった。

主人公と、奥さんを亡くした先生との共通点は、「孤独」です。
他人とも関わるんだけど、決して心を開かない。
べたな書き方ですが、旅をしていく中で、この二人にも様々な変化が訪れるのです。



とっ散らかったなあw 結局、特にこれがいいたいことはありません。
ただ、もう一度観たいなあ~と思います。
それくらい、わたしには印象に残る作品でした。
サマーウォーズより、おすすめします。