四年生の時に私は飼育委員をやっていて、学校で飼っているうさぎと鶏の世話をしていた。

 

放課後、一人で小屋の掃除をしていると上級生の男の子が話しかけてきて、ふざけて閉じ込める振りをされた。

 

私も笑ってはいたが本当に閉じ込められる恐怖もあったので、とっさに押した扉が勢いよくその男の子の顔に当たってしまった。

 

当然男の子は怒って、扉に鍵を閉め、そこからいなくなってしまった。

 

私は何度も謝り開けるよう頼んだが、無駄な努力だった。

 

しばらくガチャガチャと扉と格闘したが開くはずもなく、小屋の中は汚くて座ることもできず、私はいつまでここにいなければいけないのかと途方にくれた。

 

しばらくすると、たまたま学校から出てきた担任を見つけ、私は大声で助けを呼んだ。

 

担任に鍵を開けて貰い、事情を説明したが、私はほっとしたのと恥ずかしさで今にも泣いてしまいそうだった。

 

担任は笑っていた。

 

こんな時でも一人で誰もいない家に帰らなければいけない自分が恨めしかった。

 

だから、私は家に帰るとノートに今日のことを書き殴ったのだ。

 

数日して、母から「飼育小屋に閉じ込められたのか?」と聞かれた。

 

私は日記を読まれたのだと、閉じ込められた自分を知られてしまったのだと、恥ずかしさで早々に話を終わらせた。

 

「学校に言おうか?」と聞かれたが、これ以上恥の上塗りをしたくなかった。

 

そして、今度は兄に「くだらねぇこと書いてんじゃねぇよ。どうせお前は死にたいとかそういうのばっか書いてんだろ」と言われた。

 

事実だった。

 

私は生きている意味がわからない。

 

でも、それを誰かに言ったことはなかった。

 

兄と共同とは名ばかりの部屋は兄がいない時しか入れない。

 

普段、私のことなんて気にしないくせに、気持ちをノートに書くことも許されないのか。

 

私は日記を書かなくなった。

 

書いた日記は破いて丸めて捨てた。