能力不足の社員を解雇するには?
能力不足による解雇は、通常は業務成績の不良による解雇を指します。
能力不足により解雇する際には、少なくとも次の4つを充たすことが求められます。
① 著しく成績が不良であること
これは、「他の社員と比べて能力が低い」程度の理由では認められません。就労してもらうのがもはや不可能である程度の著しい成績不良でなければならないとされます。
高度な専門職の経験や技術(エンジニアや上級管理職など)を買われて中途入社したが、期待された能力を発揮できなかった場合には、その経験や能力があることが雇用契約を結ぶ要因となったわけですから、解雇が認められるケースがあります。
しかし、事務職などで作業能率が悪い程度の理由では、解雇の理由としては認められないでしょうし、新規学卒者の場合は余程の理由でなければ解雇はまず認められないでしょう。
② 評価が公正なものであること
成績が悪いと判断されたその評価は、果たして適切になされたものかどうかが問題となります。
たとえば、その評価が目標売上などの数字に基づいたものであった場合、その目標は果たして適切なものであったのでしょうか?
その目標が適切でない場合は、むしろ会社の目標設定プロセスに問題がないかが問われます。
また、目標達成のためのプロセスを管理する上司に問題は無かったのでしょうか?
あるいは、その評価に個人の恣意的な感情が入ってはいないでしょうか?また、評価する上司の評価能力は充分なのでしょうか?
③ 改善の見込みが乏しいこと
会社には、社員を教育・指導する義務があります。社員の能力不足は会社の教育・指導不足ではなかったかという点が問題となります。
必要な教育・指導を繰り返し行ったが、それでも改善の見込みが乏しい事実がなければなりません。
また、行った教育・改善が記録として残されているかどうかもポイントとなります。
必要な教育・指導を行ったが改善の見込みが見られない場合、配置転換を検討します。実行可能ならば、配置転換を行うことが求められます。中小企業で配置転換先がなければ、このプロセスは必要とされません。
④ 労働者の能力不足が原因で、業務に支障が生じていること
能力不足であったとしても、それが原因で会社の業務に支障が出ていないのであれば、解雇するそもそもの理由がありません。会社の業務に支障があるという事実が必要です。
以上のように、能力不足による解雇に至るハードルはとても高いものです。仮に争いとなり解雇が無効になった場合、解雇した日に遡って賃金を支払わなければなりませんし、その後には精神的苦痛を受けたとして損害賠償請求をされるリスクも懸念されるところです。
結論として、能力不足による解雇を行うリスクは、会社にとってあまりにも大きすぎるのです。
ですので、解雇よりも退職勧奨を勧め、在籍期間にもよりますが3カ月から6か月程度の退職金を上積みして辞めてもらう方が遥かに賢明な選択でしょう。勿体ないと思われるかもしれませんが、採用すべきでない人を採用してしまった場合にはこのようなリスクを伴うものと受け止めるべきですし、会社がその人にかける将来的なタイムロスの方が遥かに大きな損失でしょう。
期間の途中の解雇は有効?
今回は、有期契約の期間途中の解雇について取り上げましょう。
よく誤解されていることとして、いわゆる契約社員や有期のパートタイマーは解雇しやすいという認識があります。
期間を定めた契約で雇用した場合、実は正社員のような期間の定めのない契約よりも解雇の有効性は厳しく判断されることをご存知でしょうか?
労働契約法第17条で、期間の定めのある労働契約については、あらかじめ使用者と労働者が合意して契約期間を定めたのですから、使用者は「やむを得ない事由」がある場合でなければ、契約期間の途中で労働者を解雇することはできない」と定められているのです。これは、労働契約時に「わざわざ契約期間まで定めた」のですから、お互いにそれを守りましょうという趣旨のものです。
では、「やむを得ない事由」とはどのようなものでしょうか?法律上、その点はっきりと表されていないので、具体的にそれぞれの事案を見て判断する以外ないのですが、期間の定めのない契約の社員を解雇する場合の「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められる場合」よりも狭い範囲であると解釈されています。短い契約期間であればあるほど、それを緊急に終わらさなければならないほどの大きな理由があるのですか?という視点で考えられている、ということなのですね。
それでも期間内に解雇をするならば、当然に30日分の解雇予告手当が必要ですし、損害賠償を請求される可能性もあります。一般的には,解雇の理由が使用者の過失により生じた場合,使用者は労働者について生じた損害を賠償する必要があります。その限度額は,契約で定めた期間満了までの賃金相当額と考えられます。
以上のように、解雇しやすいからという誤った認識で期間の定めのある契約を結ぶことは、実は非常にリスキーなことなのです。
新しくサイトを作りました!
こんにちは
1月から作成し始めたサイトが漸く完成しました(^^)/
正確には、2月初旬には作り上げてはいたのですが、ドメインの取得や接続に時間が掛かってしまい…
本日やっとアップロードできました
内容は、社会保険や労働保険の手続きを扱ったサイトです。思えば、社労士を始めてから色々な手続きをさせていただきまして、いったんこれをまとめてみたいなっと思い、正月からせっせと書き始めてみました。
内容はまだまだ稚拙ではありますが、順次書き足していいものにしていきたいですね♪
コレです。
そして、次は事務所のサイトを新たにリニューアルしたいと思っています。ページのフレームの土台は既に作ったので、内容をワードやメモ帳にどんどん貯めているところ。
今年はアメブロもちゃんと頑張ります☆彡
試用期間中の解雇
今回は試用期間中の解雇をテーマに書いてみましょう。
試用期間中の解雇では、いくつかのキーワードが混在して様々な誤解をされることがよくあります。そのキーワードとは、「14日」「30日」「解雇予告手当」「解雇理由」です。
順を追ってご説明しましょう。
まず、就業規則や社内規定に試用期間についての定めがあることが大前提です。定めがない場合は、たとえ入社して1日目で解雇するとしても、30日前の解雇予告または30日分の解雇予告手当の支払いが必要です。
次に、たとえば3カ月の試用期間の定めがあるとしましょう。この場合、①入社14日以内の解雇、②入社14日以降の3カ月以内の解雇に分かれます。
① 入社14日以内の解雇
この場合は、30日前の解雇予告や30日分の解雇予告手当の支払いは必要ありません。
しかし、この期間中にむやみに解雇できるというわけではなく、あくまで「通常の解雇に比べて広い範囲で解雇は認められる」に過ぎず、就業規則の解雇事由に該当する以外でも解雇は可能ですが、その解雇理由には「社会通念上の相当性」と「解雇の合理的理由」がなければならないのです。
たとえば能力不足により14日以内に解雇を考えるとしましょう。能力不足を理由とした解雇では、会社はその社員の能力を向上させる努力を行ったかという点が重要な判断要素になります。14日で果たして会社はその努力を行えるでしょうか?
ですので、14日以内の解雇の場合は、能力以外の勤務態度(無断欠勤が多い、上司の命令に正当な理由なく反抗する等)や健康上の理由であれば認められます。
② 入社14日以降3カ月以内の解雇
上記の①とは違い、30日前の解雇予告か30日分の解雇予告手当の支払いが必要です。解雇の理由に「社会通念上の相当性」と「解雇の合理的理由」が必要なことは①と同じですが、3カ月程度の期間ならば会社も能力向上の努力は行え得るでしょうから能力不足を理由とした解雇も可能でしょう。
さて、解雇する場合には上述のような解雇予告手当の支払いが必要なわけですが、解雇予告手当を支払ったからと言って「その解雇が有効なものかどうか?」は別の問題です。解雇予告手当を支払った社員から解雇の無効を訴える訴訟を起こされるリスクもありますし、不当解雇による損害賠償請求を起こされる可能性もあります。このことは、試用期間であろうがその後であろうが同じことです。
有期労働契約の雇止めの制限とは?
有期労働契約の雇止めの制限とは?
厚労省の告示と労働契約法の2つを理解する必要があります
派遣社員や契約社員などの有期契約雇用が増えるにつれ、既存の法律では有期契約で働く労働者を保護することが難しくなってきていました。そこで、有期契約雇用については、様々な変更がなされていて、内容を正しく理解することが非常に難しくなっています。
ややこしいのですが、まずは平成15年に厚生労働省から出された告示についてお話しする必要があります。それは、労働契約の更新の場合の手続や、雇止めする場合には事前に通知すべきことなど、有期労働契約の適正な運用のための基準についてです。
まず、会社は、有期雇用契約を締結する際には、期間満了時に更新する可能性が有るのか無いのかを明らかにして、更新する可能性がある場合はその判断基準を示さなければなりません。あいまいな形で有期労働契約を結んだ場合、期間満了時のトラブルが生じる可能性があるからです。そして、更新の有無やその基準について変更する場合は、会社は速やかに労働者にその旨を通知する必要があります。
次に、更新有りと伝えた上で、有期労働契約が3回以上更新されているか、1年を超えて継続して雇用されている労働者に対して、有期労働契約を更新せずに雇止めをするときは、会社は、少なくとも当該契約期間の満了時の30日前までにその予告をしなければなりません。
第三に、上述の雇止めをする際に、会社は、労働者が更新拒否の理由について証明書を請求したときには遅滞なく交付しなければなりません。これは、雇い止め後に請求された場合も同じです。明示すべき雇止めの理由は、契約期間の満了とは別の理由とすることが必要です。つまり、3回以上更新した有期労働契約や1年以上継続雇用している労働者に雇止めをする際には、「期間が満了したから更新はしません」という理由では駄目だということです。
そして最後に、会社は、更新があることを明示された上で契約を1回以上更新し、かつ1年を超えて継続勤務している有期労働契約の労働者に対して、なお期間を更新する場合は、当該契約の実態および当該労働者の希望に応じて、契約期間をできるだけ長くするよう努めなければなりません。
以上のように、この基準は、それがすべて厳格に遵守されれば有期雇用の労働者には非常に手厚い保護を意味することになります。告示は法律ではなく行政の基準ですから、直接の法的な拘束力をもっているわけではありませんし、私法上の効力も有しません。しかし、違反すれば行政指導等の対象になりますので、実務上は重要な意味をもっています。
さて、次に平成24年に公布された労働契約法改正についてお話しする必要があります。改正された労働契約法では、それまでは判例のルールとして存在していた雇止め法理が法定化されました。その雇止めのルールを具体的に見ていきましょう。
一般的な正社員の場合は、いわゆる期間の定めのない労働契約を結びますが、会社が正社員を解雇するには「客観的に合理的」で「社会通念上相当」な理由が必要とされています。解雇するには正当な理由が必要で、正当な理由がない解雇は無効になります。これを解雇権濫用法理といいます。
一方で、契約社員などの有期契約社員は、期間が満了すれば契約更新がされない限り契約は終了となります。実態として、更新するかどうかは会社が主導権を握りますので、この雇用形態で働く労働者の地位が不安定であることは明らかです。
そこで、これまでの判例においては、①有期労働契約が何度も更新され実質的に無期労働契約と変わらない状態となっていた場合や、②契約期間が満了しても労働者に雇用の継続を期待させる合理性が有る場合には、契約期間が満了したからという理由だけで雇止めをすることはできず、解雇と同様の正当な理由が必要だとされてきました。これを「雇止め法理」といいます。
平成24年の労働契約法の改正で、判例で認められてきた「雇止め法理」を法律に引き上げ、反復・継続して更新されてきた有期労働契約の労働者が雇止めされた場合に、その労働者が雇止めをされる前かあるいはされた後に遅滞なく更新を申し込めば、正当な理由がない限り、会社は契約を更新しなければならないものとされました。
上記の「雇止め法理」の①については、a.業務の客観的内容(業務が臨時的・季節的なものか)、b.当事者間の主観的態様(たとえば会社から労働者に対し更新を期待させるような言動があったか)、c.更新の手続きについて判断されます。このうち、cの更新の手続きについて、たとえば手続きが杜撰で、毎回の更新手続きが書面でなされていないならば、実質的に無期契約が結ばれていると扱われてしまいます。
上記の「雇止め法理」の②について、契約更新の手続きが毎回しっかりなされていても、「契約期間満了後の雇用の継続を期待することが法的に保護されるに値する」と判断されれば、契約期間満了という理由だけで雇止めをすることができません。たとえ契約の更新の上限を契約時に明らかにしていても、それを超えて契約を更新している例が社内にあれば、「自分も更新してもらえるもの」と期待することに合理性があれば雇止めできない可能性があるのです。
労働契約法の改正では、他に有期労働契約で5年間継続して働いた労働者が期間の定めのない労働契約への転換を申し込めば、会社はその申し込みを承諾したものとみなす(=承諾しなければならない)という変更点もあります。その解説は別の機会に譲りますが、法律上の要請としては有期契約労働者を保護する方向性にあることをまず理解し、法律や告示の趣旨をくみ取る必要があります。