がんを告知されたばかりのときは,がんの何がどの程度不安なのかわからない。わからないがとにかく不安で不安でたまらないという状況に陥る。自分もそうでした。

こういうときは体験者に直接会って話を聞くのがいちばんです。

会って話をきくことで「不安の相場観」とでも呼んだらいいのか自分の置かれている状況はどの程度心配する必要があるのかがある程度見えてくる。

例えば私の参加しているがんサロンでも父親が「人工肛門」をつけるかもしれませんよ、と言われただけで卒倒しそうなくらいに落ち込んでがんサロンに飛び込んできた息子さんがいました。

「ストーマーですか?」

 

「オストメイト(ストーマー装着者)の方は今日の出席者の中に何人もいますよ」

 

「僕なんか大腸がんと膀胱がんやっていて前と後ろストーマですよ」

 

「私ももう20年つけて暮らしてるわよ」

元気に生活している現役のオストメイトに出会いこの息子さんは拍子抜けしたように落ち着きを取り戻しました。

また、別の病院にあるサロンで、看護師さんが下咽頭がんで喉頭を摘出して落ち込んでいる患者さんがいるので、同じ喉頭摘出者でサロン活動しているGさんの姿を見せてやってほしいと一組の患者夫婦を連れてきたことがある。

部屋に入ってきた当初、旦那さんは相当落ち込んでいるのが見た目にも明らか、奥さんもそんな旦那さんの姿を見て憔悴しきっていました。

しかし、Gさんの人工喉頭や食道発声を駆使してのファシリテーターをしている姿を見て表情が明るくなっていくのがわかりました。

奥さん「こんなに話せるようになるんですね」

だんなさんもGさんから発声訓練する支援団体を紹介されニコニコして帰っていきました。

百聞は一見にしかず、で「がんばれ、大丈夫」と声をかけられるよりも同じ境遇で頑張っている人に直接出会うことで立ち向かうポイントがはっきりしてきて気持ちが前向きになります。

ちなみに私がシルクロードの旅行を思い立ったのもアルバイト先で大学を1年休学してヨーロッパ1周してきた人に出会ったのが契機になりました。

 

それまで漠然とした憧れはありましたが目の前に体験者がいて、コテコテの関西弁で「パリはええで」という話を聞いて「オレも行けるんじゃないのかな」とぐんと身近なものになりました。


がんの場合は告知された瞬間から妄想との闘いがはじまります。頭の中で妄想の羽を広げているとロクなところに着地できません。

妄想に絡め取られる前に一歩踏み出して体験者の話を聞きに行く場に出向いてみることをおすすめします。

 

私達のブログもちょっとでもお役に立てれば嬉しいですね。

 

 

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