五條瑛『瓦礫の矜持』 中公文庫
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警察組織存続の名の下に人知れず犠牲になった男たち・・・彼らはその屈辱・無念を心の内側に溜め込み、怨讐の炎を密かに燃やしながら、復讐の時を待ち続けていた。彼らが選んだ驚愕の方策とは!?


五條瑛作品は相変わらず面白い。文庫450ページをノンストップで読ませてしまう今回の物語は、警察組織に恨みを持つ者達による、警察への復讐劇。それぞれに思いを抱えた人物の、それぞれの行動。そして、事件。

復讐劇に至るまでの過程が長く細かく描かれていた分、復讐劇とエピローグがあまりにさらっと描かれていて、物足りなさを感じてしまったことも事実。それでも警察を恨んでいる登場人物の激しい心理描写は読み応え充分で、「もし自分だったら・・・」と想像すると胸が苦しくなった。

正義とは何か?
正義の意味とは?

タイトルで手に取りたくなる、重厚な五條作品でした。


★★★★☆