11月20日(金)昨日(11月19日)衆議院において可決し、参議院に送付された「予防接種法及び検疫法の一部を改正する法律案」が参議院で審議入りしました。この法改正は重要広範議案に指定されたため、総理出席のもと、本会議で大臣による趣旨説明が行われました。予防接種法の改正は、新型コロナウイルス感染症のワクチンが開発された際のワクチン確保や円滑な接種体制を整備するために行われるもので、接種を国民の「努力義務」と定め、接種は市町村が行い、その費用は国が全額を負担することになっています。また、水際対策の期間を延長する検疫法の改正も併せて行うこととなっています。この法改正に対し、足立は約10分間の質疑を行いました。

冒頭、「約15年間大学及び大学病院に勤務した大学人としての経験から、総理の学術会議メンバー6名の任命拒否について申し上げたい」と述べ、「異なる意見を拒絶し、多様性を排除してしまえばイノベーションは生まれない。それでは日本は立っていけない」「内閣人事局で行政を支配し、検察庁法改正で司法を牛耳り、今度は学問の自由を奪う。まさに学問の危機、民主主義の危機、日本の危機であると私は感じます」と強く批判しました。そして、6名を改めて任命したのちに、学術会議の改革が必要であれば、その後論議に着手すべき、と提言し、改めて総理の対処方針について質問しました。

法案に対する質疑では、依然として科学に関する政策において世界から後れをとっている日本は、過去のデータをもとにした検証を行ってこなかったことが問題であるとしたうえで、新型コロナ対応民間臨調が出した報告書において、「今回得た教訓は既に10年前に新型『インフルエンザ対策総括報告書』で指摘されていた。まさに国を挙げて、喉元過ぎれば熱さを忘れてしまった」と書かれていたことを紹介し、総理はこの内容を承知しているかと質しました。続けて、足立自身が当時報告書のとりまとめ責任者であったことから、その報告書において提言していた内容について、この10年の間に政府がどれだけの対応を行ってきたか、田村大臣に質問しました。また、新型コロナウイルスワクチン接種を発症予防と重症化予防とするのであれば、その結果を評価するためには、無症状者を含めた全数調査かサンプリング調査をしなければわからないが、接種前にすでに感染していたかどうかを調べる予定はあるのか。接種効果の判定は何を指標に行うのか。新型コロナウイルスワクチンの接種率はどのくらいと設定しているのか。また、接種率が低かった場合、接種勧奨を行うのか。国産ワクチンが量産されたり、接種回数が1回で済んだ場合、輸入ワクチンが大量に余る可能性があるが、返品の交渉可能性はあるのか、等大臣に質問を行いました。足立は、「過去を検証しつつ、新しい知見を学びながら、一歩一歩積み上げていくことが、科学と政策との融合である」という思いを込めて質問を終えました。