厚生労働委員会において、「地域共生社会の実現のための社会福祉法の一部を改正する法律案」の審議が行われ、約50分間の質問を行いました。法案審議に先立ち、新型コロナウイルス感染症関連で、政府のPCR検査の拡大方針について質問しました。厚労省は、6月2日付の通知により、速やかに陽性者を発見する観点から、無症状の濃厚接触者に対してもPCR検査を行っていくとしましたが、同じ日に唾液を用いたPCR検査の保険適用は症状発症から9日以内の者に限り、無症状者は適用外としたことについて、矛盾があるのではないかと質問しました。足立は、ジョンズ・ホプキンス大学の最新の分析により、陽性者の発症前PCR検査では陰性と出ることが多く、無症状者にむやみにPCR検査を行うことには否定的な研究結果が出ていることを報告し、政府の対応を質しました。

 法案審議では、まず、新たな事業として創設される「重層的支援体制整備事業」について質問しました。社会福祉法第106条の四4項において、事務の全部または一部を当該市町村以外の厚生労働省令で定める社に委託することができるとなっており、厚生労働省の定め方によっては全国展開しているような大きな事業者に業務を委託することが可能になると考えられ、事業主体が市町村であるということとの矛盾が生じる上、守秘義務の観点等からも危険性があるのではないかと質問しました。担当局長からの答弁が明確でなかったため、改めて本委員会中に明確な答弁を行うよう要求しました。続いて、認知症施策に関して、認知症の「予防」という言葉の意味が、「認知症になることを予防する」ということではなく、「認知症になることを遅らせる」あるいは「認知症になっても進行を緩やかにさせる」という意味で使われていることについて、現場の医療介護従事者や国民が理解することが難しいのではないか、と意見を述べました。また、4年前から本委員会で提案していた家庭内介護を社会化するための具体的な取り組みとして、家庭内介護を行っている要介護者を施設に入所させ、介護を担っている家族を職員として同じ施設で雇用するということについて、その後省内で検討が行われているかどうか質問しました。大島老健局長より前向きな答弁が得られたので、今後も検討を続けていくよう要求しました。

午後に行われた対総理質問では、公立・公的病院の再編、統合について、ダウンサイジング予算が令和2年度の本予算に644億円計上されているが、コロナ禍において見直す考えがあるのかどうか質しました。また、介護福祉士の国家試験義務付けに関わる5年間の経過措置を、今回再度延長させることについて、もともとはフィリピンとのEPA協定でやってきた介護留学生を国家試験に落ちたあとも日本にいられるようにするために行った措置であり、平成23年以降フィリピンからのEPA留学生が全くいないという状況について、フィリピンと協議を行うべきではないかと問い質しました。さらに、新型コロナウイルス感染症対策の政府の専門家会議の議事録が存在しないことについて、会議の位置づけを確認した上で、今後の検証のためにも議事録は絶対に必要であるとの認識を述べました。最後に、米国のWHO離脱宣言について総理の見解を質し、質問を終えました。質疑終局ののち、討論・採決が行われ、立憲・国民.新緑風会・社民の共同会派は反対しましたが、法案は賛成多数により原案通り可決しました。また、各派共同提案による附帯決議も行われました。