夏の長い日もやっと暮れかけた頃、患者様のPさんが来院しました。Pさんは鴨川縁を歩いて病院まで来られているのでいつもリアルタイムの鴨川の情報を届けてくれます。

いつものように卵胞計測を終えて診察室に入ってきたPさんが言いました。

「今日も鴨川縁を歩いてきたらびっくりしましたわ。大きなマスが何匹も泳いでいましたわ。」「あれ取って食べてもいいんですかね?」

その瞬間、さっき測った卵胞サイズのことは私の頭の中から完全に消滅していました。

「Pさん。それは、マスではないです。二ゴイですよ。二・ゴ・イ。コイに似ているから二ゴイって言うんです。鴨川にマスはいません。」「二ゴイは取るのが難しいんですよ。」「それに食べてもおいしくないです。」

この後、二ゴイの解説が続きました。 
そして卵胞サイズが本日の本題であることを思い出したのは、それからしばらくの間Pさんと二ゴイの話をしてからでした。 
 

さて…、

それから2週間ほどしてからでしょうか。足立病院Drの飲み会でのことです。

近くに座っていた畑山院長の話が聞こえてきました。

畑山院長「この間、鴨川縁を散歩してたらびっくりしたんだけど。大きな魚が何匹も泳いでいるね~。」

(中山、スクランブル)

畑山院長「あれマスか… 
 
中山「院長それはマスではないです。二ゴイです。二・ゴ・イ。コイに似ているから二ゴイって言うんです。鴨川にマスはいません。二ゴイは取るのが難しいんです。」

畑山院長          …な?…」

中山「ちなみに食べてもおいしくないですよ。」(中山、迎撃完了!) 


ところで皆様、二ゴイをご存じですか?

えっ?興味ない?

それではとりあえず解説しておきますと、

名前のとおり横から見るとコイに似て薄くオレンジ係った気品ある鱗をしています。真上から見るとコイのようにズングリしてなくて、マスのようにスリムです。ほれぼれするような流線型です。泳ぎ方も魚らしい(?)ゆったりとして泳ぎ回らない(?)泳ぎ方です。

実は私にはこの二ゴイに対して特別の思いがあるのです。ひとつの象徴なのですが。

もしPさんや院長が二ゴイではなくコイのことを話していたらそのまま黙って聞いていたかも知れません。
(次回「二ゴイの秘密編」に続く)