十七条憲法に定める「組織法」

 

今から約1400年前に作られた聖徳太子の十七条憲法は面白いことに、配列にも特徴があると思っています。

戦前の政治学者には、この十七条憲法を研究し現代に生かそうとした方がおられます。

私も追及する価値があると思っています。

 

さて、特にユニークだと思うのは組織や集団のルールについて定めた、13条~15条の部分です。

13条は「職掌を知る」他人の職務を知っておき、その人がいない時は部署で補い合いましょうという規定です。

14条は「嫉妬せず」同僚や部下に優れた人がいたら、推薦しましょうという規定です。

15条は「公に向く」自分のことを考えずに、公のこと、全体のことを考えましょうという規定です。

 

個人の権利を重視する思考では、

13条に対しては、なぜ自分に割り当てられていない業務をしなければならないのか、

14条に対しては、なぜ自分でなく他人を推薦し出世させなければならないのか、

15条に対しては、なぜ自分のことを考えてはいけないのか、

などと疑問に思うかもしれませんが、集団でカバーしあう体制は、本当は大変効率がよいのです。

 

こうした発想が、聖徳太子の時代に考えられ、しかも現代の日本社会の職場にも生きているのではないかというのが面白いところです。集団で補い合う組織をつくるという発想が、昔からあったのです。

 

集団の力、組織の力を生かすのが日本の強みだと思います。

 

(十七条憲法の配列)

基本精神(目的) 1条 和を尊ぶ
教化(手段)   2条 仏教の真理を教える
立法総則     3条 詔をつつしみ受ける
行政総則     4条 礼を本とする
司法総則     5条 公平な訴訟
捜査総則     6条 悪を正す
国家公務員の規則 7条 任官 8条 勤務時間 9条・10条 勤務態度(正直・怒らず) 11条 人事評価 
地方官      12条 私的課税の禁止
組織(集団)法  13条 職掌を知る 14条 嫉妬せず 15条 公に向く
租税       16条 民生の配慮

重大事項     17条 大事の衆議
 

 

以下は、十七条憲法の朗読を行う企画、面白そうですね。