令和6年6月4日神谷代表国会質疑(事業性融資等)

 

政府は、無形資産を含む事業全体を担保とする制度(企業価値担保権)を創設し、企業価値を担保にした「事業性融資」を可能にする法案を提出しています。

 

事業性融資の推進等に関する法律案 説明資料

https://www.fsa.go.jp/common/diet/213/02/setsumei.pdf

 

しかしこれは、国内の銀行や信金だけでなく、外国のファンドも利用可能になっています。

すると、資金繰りに苦しむ日本の中小企業が、外国のファンドから不当に安く評価された、厳しい条件の融資を受けてしまい、破綻した後で、他の海外ファンドに買収されるといった事案が想定されます。

 

つまり、外国ファンドによる、不当な中小企業買収の手段として利用されかねません。

神谷代表はその危険性について質問していました。
 

専門的で分かりにくいかもしれませんが、要は、新たな「事業性融資」により、国内中小企業がハゲタカファンドの買収のえじきになるのではないかという懸念です。

 

懸念を解消するには、外資ファンドの利用を禁止し、国が手厚くマネー供給を支援して、国内金融機関にノウハウを蓄積させればよいのですが、そういうことはしません。

 

5/14の質疑にあった中小企業株式の投資運用と合わせ、国内中小企業の買収が進むリスクが高まります。

 

外国ファンドのリスクと宗教法人買収について 参議院議員 神谷宗幣 国会質疑 令和6年6月4日 参政党

https://www.youtube.com/watch?v=_iFgWN3dcwY

 

令和6年5月14日神谷代表・参院財政金融委員会国会質疑

https://ameblo.jp/adachi-kyoto/entry-12852339884.html

 

 

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(主な質疑のやりとり) ※正確な反訳ではなく大幅に割愛した箇所もあります。

 

1 事業性融資を国内金融機関以外も利用可能とした理由は

質問:本法律の目的は、融資を是正し、会社の資金調達の円滑化のため、国民経済の健全な発展に寄与するとされる。それなら、貸し手を国民経済の発展に寄与する意志の強い国内金融機関に限定し、当初は国が何らかの保証を加えるなどするほうが、国内金融機関の新たな挑戦が可能になり、ノウハウが蓄積され、制度の理念に合致するのではないか。なぜ貸し手に制限を加えず、プライベートヘッドファンドや再生ファンドも貸主になれるようにしたのか。

 

答弁(金融庁井藤市場企画局長):広く利用を認めるべきとの提言(報告書)、債権者間の公平を認めるべきとの意見による。

 

質問:国際ルールや条約ではなく、提言に基づいて判断したことで間違いないか。

 

答弁:報告書の提言、有識者、政府部内の議論をふまえて判断した。

 

質問:ルールがあってしたのではなく話し合いの中でしたということで理解した。もう一点、無形資産の評価は誰が行うのか。ガイドラインや基準を設けるのか。

 

答弁:主に金融機関だが、事業価値の評価の具体的な方法は、各金融機関等の経営判断。金融庁はモデルケースの把握などして支援したい。

 

2 不当に事業価値を低くする悪意あるファンドを防止する対策は

質問:評価はお金を貸す側が自由に評価してよいということで理解した。事業性融資の制度は、スタートアップにはすぐには当てはまらない。事業継承の場合には、既にサーチファンドが制度として存在するので、無理してつくる必要はない。すると、今回の事業性融資の制度をつくっても、LBOなど企業買収のところで活用されるケースが多くなるのではないかと想像する。一つ例を挙げて質問する。

 

日本企業のJが、伝統の技術があるのに円安や金利上昇で資金繰りに困窮。有形資産を担保に融資を受けている。新たに担保できるのは無形資産のみ。しかし、Jの取引銀行は事業性融資のノウハウがなく話が進まない。特定の意図をもった再生ファンドAは、無形資産評価に関する知見に乏しく、当面の資金繰りが苦しいことにつけ込み、Jに対し、無形資産を不当に低く評価した、無形資産担保融資を実行する。

 

企業Jが破綻すると、再生ファンドAは仲間の再生ファンドBを裁判所に推薦し、Bが買収することになる。その売却資金は返済に充てられるが、もともと事業価値が低く評価されており、返済額はわずかにとどまる。Bは管財人と裁判所やAからの情報を得て、適切な事業価値を把握して取得。Bは価値を本来の価値に高め、第三者の事業会社やファンドに売却することが可能になる。

 

こうした流れが可能ではないかと想定する。このスキームは、外国のファンドのみならず、計画倒産を狙う経営者が出てきたときにも可能。今回の法案によって、悪意あるケースが発生しないための防衛策をどう考えるか。鈴木大臣の見解は。

 

答弁(鈴木財務大臣):企業価値担保権の実行手続については、公正を確保するため、譲渡人となるスポンサーについて担保権者等が選定を行うのではなく、裁判所で任命された管財人が選定を行い、事業の承継等には、裁判所が労組の意見を聞いたうえで許可することなど、裁判所の監督に服する枠組みとなっている。管財人によるスポンサーの選定・裁判所の許可には、多様な事情を考慮して適切な承継先が求められる。こうした手続はガイドラインなどで公表する。

 

こうした裁判所の監督する実行手続において、悪意をもった不公正な実行を行うことは困難。金融庁は実行手続の運用をフォローし、必要に応じて制度の見直しも検討する。

 

3 宗教法人ブローカーによる外国人投資家等への売却対策は

質問:後継者不足で、宗教法人が売却されるケースも増えている。宗教法人ブローカーがおり、買い手には外国人や外国人投資家も含まれている。宗派から離脱した単立宗教法人など、自由度を高くしてから、寄付で売買相当額を受け取り、事実上宗教法人格を売却する手法がとられている。政府が不活動宗教法人対策を進めてきた、監督強化や取締りの効果や現状は。

 

答弁(文化庁小林審議官):文化庁としては、第三者の法人格不正取得がされないことが重要。備付書類の書類の提出、予算補助、対策マニュアルの整備などに取り組む。令和6年度の国の予算を用いて実施。日本宗教連盟の理事者談話。

 

質問:宗教法人のブローカーは税務署対策を強調する文言を売りにしている。宗教法人を隠れ蓑にした脱税やマネーロンダリングなどの事態を国税庁は認識しているか。どんな対策を行っているか。

 

答弁(国税庁星屋次長):国税当局は適正公平な課税の実現に努めている。

 

要望:宗教法人の買収はもともと法が予定していなかった事態なので、厳しいチェックをしてほしい。