令和6年5月14日神谷代表・参院財政金融委員会国会質疑

 

令和6年5月14日、参政党代表神谷宗幣参院議員による参院財政金融委員会の国会質疑が行われました。

テーマは、金商法の改正で、中小企業株式を対象とする投資運用の規制緩和(外資参入)が目的です。

 

中小企業の技術保護と国による資産運用 参議院議員 神谷宗幣 国会質疑 令和6年5月14日 参政党

 

令和6年3月15日、「金融商品取引法及び投資信託及び投資法人に関する法律の一部を改正する法律案」(令和 6 年閣法第 56 号)が国会に提出されました。

 

この改正案は、以下の項目に整理されます。

1 投資運用業者の参入促進 

 …投資運用関係業務受託業(ミドルオフィス・バックオフィス業務)の登録制度導入

 …投資運用業の参入要件緩和(投資運用関係業受託業者に委託すれば参入可)

2 非上場有価証券の流通活性化 

 …プロ投資家に対し非上場株式の仲介を行う「非上場有価証券特例仲介等業務」のみを行う第一種金融商品取引業者について、自己資本規制比率、兼業規制及び金融商品取引責任準備金積立規制の適用除外

 …非上場有価証券のみを扱う私設取引システム(PTS)であって、流動性や取引規模等が限定的なものは、認可を要さず第一種金融商品取引業の登録制の下で参入可能

3 大量保有報告制度の見直し(対象明確化)及び公開買付制度の見直し(対象取引の拡大)

 …共同して重要提案行為を行うことを合意の目的としない限り、共同保有者として保有割合を合算しない

 …市場内取引も公開買付対象、公開買付対象の議決権割合を3分の1から30%へ引下げ

 

要するに、1は海外の投資運用業者の参入拡大、2は日本の中小企業株式の取引を扱う業者の参入拡大、3は共同保有として報告不要とする範囲の拡大です。

神谷さんが、一種の緩和措置と呼んだのはその通りだと思いますし、今後、日本の中小企業の株式が、海外の投資運用業者のターゲットとなっていくことがうかがえます。

 

今回の法改正にデメリットがないと言い切る答弁や、中小企業の多くは譲渡制限付きだから技術流出リスクがないと言い切る答弁には、官僚としての、誠実性がうかがえません(もう一度調べ直してください、と言いたいですね)。

 

中小企業も経営難になったらやむなく身売りせざるを得ませんし、その時は経営者の意思で譲渡がされます。外為法の歯止めは審査の実効性や拒絶件数が果たして何件あるのかという問題や、結局拒絶しても、当該中小企業が資金調達を欲しているので、真の解決にはなっていません。国家として資金を集め、技術・特許流出を防ぐための資金を提供するなど、技術流出を食い止め、救済する仕組みが必要ですが、そういった答弁はありませんでした。

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質疑の要旨(反訳ではありません、正確性は保証しません)

 

1 改正のデメリットとその対策は

(質問)

今回の法改正は一種の緩和措置だが、そのデメリットと対策を考えているか。

 

(答弁)金融庁・伊藤企画室長局長

今回の改正法案は、非上場企業の売却ニーズにこたえることや、投資家の非上場株式における投資機会を提供することを目的としている。非上場株式の評価は難しく投資リスクがある。そのため非上場株式の流通活性化のための規制緩和は、プロ投資家を主たる対象としている。よって今回の緩和措置により大きなデメリットが生じるとは考えていない。

 

2 中小企業の技術・特許流出の懸念は

(質問)

非上場有価証券の流通活性化というが、スタートアップが発行する証券には、コロナ期から立ち直れていない中小企業が多い。
2021年の銀行法の改正では経営不振の会社への100%出資が可能となっている。今回の規制緩和により流通が活性化すると、プライベートエクイティファンドが中小企業を買収し、日本の特許や技術が流出するリスクがあるのではないか。

 

海外では企画立案のみ行い現地国の資産運用会社を利用して短期で利益を上げている会社が多数存在している。流動性が高まるというメリットはあるが、海外のファンドなどが日本の中小企業の技術や特許を狙って買収を進めることで、日本の技術が流出するリスクは考えられないか。

 

(答弁)

非上場企業が発行する株式には譲渡に際して取締役会での譲渡承認が必要となる制限が付されていることが一般的であり、当該企業が意図しない株式の譲渡は行われない、また外国の投資家が一定の事業を営む国内非上場企業の株式を取得する場合は、外為法により事前届出が求められ、国の安全を考えた厳格な審査が行われる。大きなリスクが生じるとは考えていない。

 

(要望)

顧客保護は言われているが、対象となる会社の権利保護の観点がない。日本企業や技術を守る視点も必要。リーマンショックの後ハゲタカファンドに技術を持っていかれた。その予防策や対策を考えていただきたい。

 

3 政府系ファンドの設置ができないか

(質問)

年金を運用する独立行政法人(GPIF)は平均4%の利回りで資金を運用している。昨年は過去最高の34兆円余の利益を上げた。諸外国の資産運用は政府系ファンドが多数存在している。日本も政府系ファンドを進めることは法的に可能か。

 

(答弁)金融庁総合政策局・堀本政策立案総括審議官

国民の資産は高い運用力を持つ者に運用させることが望ましい。法律云々の前に、高い運用力は多様な投資運用業者の参入を通じて競争環境を整備し、事業者が切磋琢磨する中で獲得されるのが実際のマーケット状況。顧客である各法人も様々で、国が一律にやって範を示すのは適切でないと考えている。市場が機能するには、国民が資産形成を選択するリテラシーが必要なので、金融経済教育を行っていきたい。

 

(要望)

NISAなどやっているが、拙速すぎないか、段階を追ってやっていく必要があると思う。過度な緩和は国民の資産運用のためというより、日本市場を目指してやってくる外国資本のためになっている。優遇して(門戸を)開いたが国民の資産は増えず、資産を持っていかれたという結果に終わらないよう、国民が安心して国家と一緒に投資ができる仕組み(政府系ファンドなど)をつくるべきだ。

 

外資に運営を任せると、外資は日本人の富を増やそうと思っておらず、自分たちの利益のために資産を運用する。自由競争だけに任せず、最初は、政府が介入し連携した取組みを検討すべきだ。