家族法制の見直しに関する要綱案

 

法務省の法制審議会家族法制部会は、令和6年1月30日、「家族法制の見直しに関する要綱案」を決定しました。

ここでは、離婚後の共同親権、法定養育費、収入・資産の開示命令、財産分与請求期間の伸長(5年)、強度の精神病を離婚原因から削除などが盛り込まれており、特に、親権について、大きく家族法のあり方が変わる可能性があります。

 

「家族法制の見直しに関する要綱案」(令和6年1月30日)

https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00238.html

 

離婚後の共同親権についてですが、協議により、従来の単独親権も共同親権も可能になるとのことです。

裁判所の判決でも、単独親権にも共同親権にもできるようです。

 

ただ、現行の制度を変えて、共同親権を取り入れるメリットがいまいちはっきりしません。

 

未成年者(18歳未満)について、親権の行使が必要な場面を考えてみますと、

銀行の口座開設、修学旅行、入学、遺産分割を受ける、裁判などが想定されますが、

共同親権となると、これらの親権行使について離婚後も協議(相手の同意)が必要となります。

 

しかし、離婚後も親権行使の場面で元夫婦間での協議(相手から同意の書面をもらうこと)がお互いスムーズにいくのかを考えると、離婚後も様々な場面で互いに交渉の時間・労力等(場合によっては弁護士への依頼等)が生じ、当事者にはメリットが感じにくいように思います。

 

他方で、現行制度では親権者でなくても面会交流の権利や養育費の支払義務が認められています。親子間で相続も生じます。

 

これから日本に合う法制度を構想し、つくっていく発想は必要だと思いますが、外国が共同親権の国が多いというだけでは、合理的な理由にならないのではないかと思います。