「親知らず」の抜歯の手術を受けた17歳の男子生徒が、死亡しました。一体何が起きたのでしょうか。
亡くなったのは、富川勇大さん(当時17)。勇大さんは大阪府内の特別支援学校に通う高等部3年生でした。父・勇雄さん(48)は取材に、無念の思いを語ります。
(父親 富川勇雄さん)「まさかそんな亡くなるなんか思ってもなかったですし、本人も前日まで元気でいてましたしね。料理をするのが好きだったので料理を手伝ってくれたりとか、一緒に楽しく作っておいしく食べたりとかしてね」
発達障がいがある勇大さん。かかりつけの歯科医師に、左右に親知らずがあると言われたため、今年7月に「堺市重度障害者歯科診療所」で抜歯の手術を受けることになりました。
(父親 富川勇雄さん)「息子の将来のために、『虫歯になるおそれがある』という話を聞いて、抜いたほうが今後の生活のために良いと思って治療を受けた」
じっと座っているのが難しいことなどから、抜歯は全身麻酔で行われました。しかし、開始から1時間後に救急車が到着。勇大さんは顔面蒼白の状態で別の病院に搬送されました。低酸素状態で心肺停止となっていて、意識が戻らぬまま、1か月後に亡くなりました。
手術中に何が起きたのか?診療所の報告書には次のような内容が書かれていました。
『原因として考えられるのは食道挿管』 実は、搬送される際、勇大さんのお腹が膨らんでいることを救急隊員が発見。本来、肺に酸素を送るチューブは気管に入っていなければなりませんが、誤って食道に入っていたとみられています。
診療所はミスを認め遺族に謝罪しましたが、渡された報告書はA4サイズの用紙1枚だけ。再度、説明を求めても「判断ミスだった」と繰り返され、亡くなった8月以降、連絡は途絶えたままだといいます。
(父親 富川勇雄さん)「やはり軽く見ているのかなという、人の命がなくなったことに対して。そこでしか治療を受けられない方が結構いてるんですね。これからそういった困っている方に対してはきっちりとした治療をしていっていただきたい」
診療所を運営する堺市歯科医師会は取材に対して「何も答えられない」としていて、警察は業務上過失致死の容疑も視野に捜査しています。
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