排水から基準9倍超の水銀など 住民は不信感、市は「影響なし」
千葉県袖ケ浦市の山間部にある林地区で1月下旬、水田などに使われる用水にリサイクル施設から泡立つ排水が流れ込んだ問題で、住民が排水の水質検査を民間の分析会社に依頼したところ、基準値の9倍超の水銀などが検出されたことがわかった。市は、現在は改善されたとするが、住民は市にも施設側にも不信感を募らせている。
問題の排水は、1月24日に施設の排水溝付近が白い泡に包まれていたことからわかった。住民側は市に連絡するとともに、県警にも通報。立ち会いの上で排水を採取し、市職員に渡して検査することを要望した。
施設側は2月に住民説明会を開き、謝罪するとともに、原因について、電線の銅とビニールを分ける機器を洗浄した水などが流出したと説明した。
住民側は、独自に横浜市の民間分析会社に水質検査を依頼。その結果、「水銀及びアルキル水銀その他の水銀化合物」が1リットルあたり0.0046ミリグラム(県の排水基準は1リットルあたり0.0005ミリグラム)、「鉛及びその化合物」が同1.5ミリグラム(同0.1ミリグラム)、「銅含有量」が同38ミリグラム(同1ミリグラム)などと、26の項目のうち5項目で基準値を上回った。
一方で、住民から排水のサンプルを渡された袖ケ浦市が県環境財団に依頼した試験では、項目は違うものの、「水銀又(また)はその化合物」「鉛又はその化合物」はいずれも県の排水基準を下回る結果が出た。
こうした結果を受け、市の担当者は「排水の採取や検査の方法、手順が違うため、水銀などが正式に検出されたということではない」としながらも、「ないものが検出されることはないので、事実の可能性が高い」とした。
施設側は「危険なものは一切使用していないので基準値を超える成分が出るとは思えない」と説明。現在は施設側が分離槽を設置するなど対応したため、流出の可能性はなくなったとしている。
施設からの排水が流れ込んだ用水の水は下流域の水田で使われ、流域の飲料水をまかなう浄水場がある小櫃川にも流れ込む。市は、今回の水銀などは拡散して薄まり、市民生活に影響はないとする。