フジコ・ヘミングが描いた絵|秘蔵コレクションを公開
ピアニストでありながら画家としての顔ももつフジコ・ヘミングの作品をご紹介。
画=フジコ・ヘミング
花
作品の多くには色鮮やかな花の数々が描かれている。メインのモチーフとすることもあれば、部屋の隅やピアノの上に、ささやかな花束が描かれることも。
いつも花に囲まれて暮らしていることが窺える。
画=フジコ・ヘミング《猫とバラ》
窓の向こうからこちらを覗いているのは2匹の猫。そばには鮮やかな大輪のばらが咲いている。本作に限らず多くの作品で強い印象を放つばらは、フジコが幾度となく絵に描いたモチーフ。作品全体に気高さと毒々しさを醸している。
画=フジコ・ヘミング《スウェーデンの花》
鮮やかかついきいきと咲き誇る花々は実に色とりどりで、フジコの類い稀な色彩感覚が堪能できる作品。背景には五線譜が描かれており、まるで花が楽しげに音楽を奏でているように見える。上部には花から花へと移る美しい蝶が。
家族
幼少期の思い出や家族とのエピソードを表した作品も多い。
また猫はフジコにとっては愛する家族の一員。ともに暮らしてきた愛すべき存在との日々を絵の中に閉じ込めた。
画=フジコ・ヘミング《父とダンスの思い出》
優しい父と手を取り合って踊る愛しい時間を描いた。
画=フジコ・ヘミング《釣り》
幼いころの思い出を描いた一作。「土砂降りのある日、雨が止むと外にできた水たまりで釣りごっこをした。釣り上げたのはスウェーデンのおばあちゃんからもらった銀の匙やナイフ、フォーク。そんな遊びが面白くて仕方なかった」
画=フジコ・ヘミング《じゃれてる猫》
鮮やかな絨毯、ソファ、そしてじゃれ合う4匹の猫。壁に掛かったポートレートの中のフジコも膝に猫を抱えている。のびのびとした猫からは鳴き声が聞こえてくるよう。
画=フジコ・ヘミング《ソニア・Ⅰ》
猫を主題に用いた作品を数多く描いているフジコ。大きな斑点のある黒猫は、にんまりと笑っているような表情、長いひげ、しゅっと伸びた尻尾、どれをとってもチャーミング。
画=フジコ・ヘミング《捨てられた動物たち》
長年、動物愛護活動に熱心に取り組むフジコらしい、動物たちへの愛に溢れた一作。一度は人間に見放された猫と犬を愛おしそうに見つめる眼差しから、温もりが見てとれる。
ジャポニズム
葛飾北斎に影響を受けたと明言するように、浮世絵にインスピレーションを得た作品も見られる。
古典的なモチーフもフジコにかかれば、ユーモラスかつモダンな印象を放つ。
画=フジコ・ヘミング《屋根の上の猫》
険しい山、その向こうに見える赤富士、赤い暖簾が掛かった瓦屋根の屋敷。日本的なモチーフを遠近法を使って描いたこちらの作品は日本画のようでもあるが、桜の木をかけ上がる猫を描くところにフジコらしいユーモアが見られる。
画=フジコ・ヘミング《桜》
フジコは演奏する際の衣装として自らきものを選ぶことも多く、伝統的な和装を好む一面がある。精緻に描かれた満開の桜が見事。舞い散る花びらに儚さが漂っている。
画=フジコ・ヘミング《浴衣の女》
浴衣を羽織る一瞬にも見える女性の後ろ姿には、なんとも言えない色気が感じられる。大ぶりの花を大胆に描いた意匠が粋。フジコの日常を絵に収めたのかもしれない。