認知症を有する人が、何度も同じ質問を繰り返す行動がよくあります。

 

繰り返し質問する理由として・・・

➀忘れてしまうから

➁不安な気持ちがあるから

等が専門書なでど説明されています。

 

そして、その対応方法として

介護者を困らせようと思って、何度も質問しているわけではないので・・・

➀「うんざり」「イライラ」をぶつけない

➁「不安な気持ちを安定させるため」に心に寄り添う対応

➂初めて聞いたかのように、丁寧に応答する

➃ある程度、丁寧に応答したら、「お茶飲む?」など話題をそらす

等が認知症ケアの対応で推奨されています。

 

しかし・・・

 

家族・介護者にしてみれば、毎日繰り返し同じ質問をされたらへとへとになって当然です。

 

それでも 上記の対応を医療介護の専門家は推奨するので、家族・介護者は言われたように対応します。

 

繰り返し質問されても、丁寧に対応すれば「気持ちが安定するだろう・・・」「きっと今度は説明したことを理解してくれるだろう・・・」と願いながら

 

ところが、一向に 毎日繰り返し同じ質問をする行動は解消されない・・・

 

なぜか?

 

行動分析学では次のように分析します。

 

 

行動は、個人(行動)と環境との相互作用

 

行動は、行動の直前と行動の直後の刺激に影響を受けるのです。

 

しかも、行動の直後の結果が、その後の行動に大きく影響を与えます。

 

 

何度も同じ質問を繰り返す→「強化」されています。

 

「強化」の原理は 好子出現または嫌子消失のいずれかです。

 

この場合、何度も同じ質問を繰り返す行動の 直前は「家族の対応なし」から行動の直後は「家族の対応あり」

 

「なし」から「あり」」の変化なので「出現」です。

 

認知症を有する人にとって 家族がその都度、丁寧な対応をしてくれるのは「好子(メリット)」となります。

 

好子出現の強化によって 同じ質問を繰り返しているのです。

 

なので・・・

 

医療介護の専門家が推奨する➀~➃の対応で、毎日質繰り返し同じ問をする行動にお付き合いすればするほど

「同じ質問を繰り返す行動」は「強化」されているのです。

 

 

だったら ・・・

 

「うんざり」「イライラ」「怒鳴る」対応をすればいいんじゃない!! と思ってしまう方もいるでしょう。

 

でも・・・

 

家族が 同じ質問を繰り返す行動に対して、「うんざり」「イライラ」「怒鳴る」対応をしても、何度も同じ質問を繰り返すのであれば

認知症を有する人にとって、「うんざり」「イライラ」「怒鳴る」対応も「好子(メリット)」になっているのです。

 

 

でも、これ とても悲しいことなのです。

 

本来、認知症を有する人は 家族と 些細な会話・談笑など良い交流を望んでいるのに

「上手く言葉が出てこない」「話したい内容がうまく伝わらない」ので

家族に望ましい手段で会話をする行動が減ります。

 

 

 家族は、認知症を有する人と会話をしても ちぐはぐなやり取りばかりになるので

認知症を有する人に 話しかける行動が減ります。

 

 

結果的に 同じ屋根の下にいても 双方が 些細な会話・談笑もない暮らしとなってしまうのです。

 

認知症を有する人にとって、良好な会話や談笑ができない・・・

 

何か話せば、何かすれば、家族から「注意」「訂正」「叱責」「愚痴」を言われるばかり···

 

そんなときに、初めは些細なことや気になることを聞いたら、家族が返答してくれた···

 

認知症により語彙力が低下し、言語レパートリーが限られる状態のなかで、家族に聞いたら返答してくれた···

 

質問の内容は、こんな些細なきっかけだったのでしょう。

でも、認知症を有する人には強力な好子なのです。

 

結果的に、質問内容を繰り返し聞く行動が強化されたのです。

 

次第に、同じ質問をすると、家族から「怒鳴る」「文句」「うんざり」した対応をされだしても、家族とは関わりたいと思っている場合、 怒鳴られたり、うんざりされたりでもいいから、「わたしに注目して」「わたしにかまって」という考えに至るわけです。

 

「怒鳴られても」「文句言われても」「うんざりされても」良いから、「わたしにかかわって」という理由で「毎日繰り返し同じ質問をする行動」をしているのです。

 

 

 

次回は、何度も同じ質問を繰り返す行動への対応方法をご紹介いたします。