今回は、注意・説得・矯正・怒鳴る癖を直すためにを、習慣逆転法を実践します。

 

習慣逆転法とは習癖行動(例えば、爪かみ、抜毛、チック、吃音など)の頻度を減らすために用いられる技法です。

 

習慣逆転法は5つのステップで構成されます。

 

 

◎ステップ1 : 癖の自覚化

 ①間違い正したい反射が誘発されて、そのまま注意・説得・矯正・怒鳴る行動を自発させていることを自覚することです。

自分ではなかなか自覚できないため、スマホで動画撮影が効果的です。誰かに撮影してもらってください。

私が行動コンサルの依頼を受けた時は、必ず動画撮影します。多くの介護者は「怒っていない」「そんな酷いことは言っていない」と豪語しますが、動画に映る自分を見て愕然とされます。

意外と、これで行動変容される方もいます。

②認知症を有する人の非転嫁型誤認行動で強い情動(苛立ち・怒り等)を感じるものからあまり嫌悪を感じないものまでの表をつくります。

 

◎ステップ2 : 癖と反対方向の行動(拮抗行動)

 ①拮抗行動とは、癖と同時にできない行動であることが大事なので、介護者は認知症を有する人の些細な言動に対して、過剰に反応して否定、指摘、注意、是正を声に出しているので、口を真一文字に噤んでください。

 

◎ステップ3 : リラクセーション

 認知症を有する人の非転嫁型誤認行動で、反射的に間違い正したい反射が誘発ると同時に嫌悪的な情動(苛立ち・怒りなど)も誘発されます。

リラクセーションはこの情動を軽減させるのに効果的です。

①10秒呼吸法(鼻から4秒息を吸って、2秒止めて、口から5秒吐く)

 ②両手を5秒間、8割の力で握りこぶしをつくり、すぐに指を開いて力の 圧が抜けていくのを10秒間実感してください。これを5回繰り返します。

筋肉の緊張と弛緩(リラックス)を繰り返して意図的にリラックス状態をつくります。

 

◎ステップ4 : 代替行動

 ①否定する、指摘する、注意する台詞を声に出してしまう反応を妨害して、代替行動として、「ニコッ」と作り笑顔をします。

そして、「そうよ」「そうね」「そうなんだ」「大丈夫、大丈夫」「わかった」など肯定の台詞を声をだしてください。

 

◎ステップ5 : イメージ練習

 ①自覚化で作成した非転嫁型誤認行動の階層表で、強度の低い項目らからイメージしながら習慣逆転法を行います。

これを繰り返し行い、間違い正したい反射はせず代替行動でコントロールできるイメージができたら、階層表を一段あげて、同じように取り組みます。

 

 もしイメージ練習が苦手という方は、次のような方法もあります。

 

①  スマホやビデオ利用して認知症を有する人の非転嫁型誤認行動の場面を録画したのを視聴しながら行ってください。

 

②家族や知人の声で非転嫁型誤認行動を音声録音したのを聞きながら行ってください。

 

③家族や知人・同僚などに協力してもらい非転嫁型誤認行動を疑似してもらうのもよいでしょう。

 

注意点として、ふざけたり恥ずかしがって行わないようにるすこと。また、家族や知人に協力してもらう際、非転嫁型誤認行動の台詞がリアルすぎて、介護者に攻撃行動や派生の原理を働かせるかもしれませんが、あくまでも訓練です。険悪な関係にならないように注意してください。

 

 介護者が日常的に認知症を有する人と関わりがある場合は、イメージ練習だけではなく実践で習慣逆転法を行うことになります。

実践ゆえに、どの場面で非転嫁型誤認行動が発生するか読めないため、はじめのうちはうまく対応できませんが、意識して取り組むことで徐々にコツがつかめてきます。

 

 また、介護者の指示や促しに対して反応や動作が鈍く遅くて、じれったく感じて苛立つ場合も、反応や動作が鈍く遅さに馴れることが必要となります。

 

①  録画したテレビ番組たまはネット動画をスロー再生で観ながら行います。

視聴して、じれったくて苛立ちを感じながら習慣逆転法(①~④)行ってください。

介護者の楽しみにしているテレビやネット動画で苛立ちを感じるスロー速度で観ることが肝です。

 

 注意・説得・矯正・怒鳴る行動の習癖を習慣逆転法で直す目的は、認知症を有する人と落ち着いて向き合うためです。

 

その際、会話の端々に非転嫁型誤認行動(大げさな話、事実と違う話、言い間違い、勘違い話など)が出てきますが、いちいち反応しない行動を身につけるのです。

 

 結果的に、認知症を有する人は、介護者に自分の話を聴いてもらえている。自分の主張を受け止めてくれているという感覚につながるので、感情をざわつかせ無用な言い争いは防げるのです。

 

今まで認知症を有する人とのかかわりなかで、間違い正したい反射が誘発され、注意・説得・矯正・怒鳴る行動が習癖となっていました。

習慣逆転法を実践しても、介護者が一朝にして変わるのは難しいという事実はあります。

でも、続けて行けば必ず介護者の行動は変わります。