高齢者(特に認知症の症状がある人)に対して応用行動分析学(ABA)を介護に用いることは諸外国ではスタンダードとなっていますが、日本においては感情的な批判が多いです。
行動上の問題が酷くてコンサルテーションの相談をされるご家族や専門職員の方のなかにも、解決のための行動の処方せんを提案したときに、次のような批判をされる方がおります。
「こころ」「性格や意志」「病気の症状」等に問題を帰属せず、科学性を重視する立場を「非人間的」と決めつけられたり、食べ物や物などの嗜好物を使う介入を行うことに対して動物の餌付けと同じ方法を用いるのは「人を動物扱いしている」と批判されたり、行動変容のための訓練などが「しつけをしているようだ」といった批判を受けてしまうことも多く、結果的に介入に至らないということも多々あります。
しかし、誤った介護や常識的な介護(介護医療領域では常識とされる対応)を受けることでかえって問題が悪化して影響を受けているのは当事者である認知症の症状がある人なのです。
「人を動物扱いしている」と言われますが、私たちも何かを得るために行動をしているのです。
何かを取り組んだ時に自分にご褒美をあげることはないでしようか?
異性の気を引くためにプレゼント等をあげることはないでしようか?
何のために仕事をしていますか?無報酬で仕事を続けられますか?※労働の直後に日当を得ている方は行動随伴性がせいりつするかも知れませんが、会社員等、月収で給料をもらう方はルール支配行動かなと。
また、食べ物等の嗜好物などは行動を自発させるためのきっかけであり、常に食べ物等で行動変容させるものではありません。個別的に行動を自発するために何がメリットとなるのか検討します。
「しつけをしているようだ」と言われますが、多くの介護者は、注意や叱責、怒鳴る、時には叩くなどで間違った行動を正そうと「しつけ」をしています。自分は正しいことをしているという認識なので、日常的に自分たちが発する台詞がどのようなものか気にしていませんが、かなり辛辣な発言が多いです。私がコンサルテーションをするときは動画録画してもらうのですが、録画された音声にはかなりの確率でまさしく「しつけ」をするような発言をされています。
注意や叱責、怒鳴る、時には叩く「しつけ」的なやり方で問題を解消させようとしたり、間違いを認識させて正しい行動をさせようとしても結果的にうまくいかないのですべて悪いのは認知症の症状がある人のせいになってしまうのです。
しかし、注意や叱責、怒鳴るや叩く等は嫌悪刺激行動(罰行動)で行動変容をすることは、応用行動分析学(ABA)では、倫理的な問題から基本的に認められていません。
応用行動分析学(ABA)では、認知症の症状がある人の行動と環境調整によって行動を変えるように研究で導き出された様々な諸法則を用いるのです。
皆さんがもし認知症の症状を抱えるようになったとして、仮に行動上の問題を起こしてしまうようになったときに
①抗精神病薬で抑えてほしいですか?
②環境調整で行動を変えてほしいですか?
③罰を受けてでも行動を変えてほしいですか?
今や高齢者に対して介護予防にパワーリハビリ(スポーツジムにあるような筋力トレーニング器具の高齢者版)はスタンダードになっていますが、2000年の介護保険開始当初にパワーリハビリの効果が認められた時も、「高齢者にトレーニングをさせても意味がない」「筋力トレーニング器具を使わせるなんて非常識だ」と言われていました。
わたしがケアマネジャーをしているときに、パワーリハビリのエビデンスのもとサービス提案をしてもご家族から「なんて提案するんだ」と批判を受けました。
応用行動分析学(ABA)は、自閉症児に対する療育訓練もここ数年で浸透して、今や乱立してきている放課後デイサービスの事業所の宣伝に応用行動分析学(ABA)を実践していると売り込み文句にしていますが(※流行で知識も経験も技術もないのに宣伝文句にしている事業所が多いのも問題ですが)、10年前まではやはり批判的でした。
今は高齢者介護(特に認知症の症状がある人)に応用行動分析学(ABA)を用いることに批判的であっても2025年にはスタンダードになっていると思います。
認知症介護をするご家族や介護医療の専門職の方々に、高齢者介護(特に認知症の症状がある人)に応用行動分析学(ABA)を実践するための知識と技術を草の根で地道に伝えていきたいと思います。
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