記憶が正常に機能している人は、朝起きてから就寝までの日常生活の営みは
内的言語行動などによって自分の体の中(固体内)に行動の手がかり刺激をもち
必要な行動を自発するとか自発しないとかを調整をすることできます。
しかし、記憶障害がある認知症の症状がある人は,自分の体の中(固体内)に行動の手がかり刺激をもちにくいので、自分以外の人に行動の手がかり刺激をもとめやすくなります。
そのため家族や介護スタッフに「何をすればいいの?」とか「今何時?」「〇〇やって」など同じことを何回も質問するという問題が生じてしまいます。
ただし、これは認知症の症状がある人だけに問題があるのではなく、周囲の人のかかわり行動のも原因があります。
家族や介護スタッフは、認知症の症状がある人からの質問や要求に対して、即答したり同調しています。
加えて、先回りして認知症の症状がある人が自発的に行動する機会を奪っていることも多いです。
わたしたちは「認知症だから何もわからない」という先入観から、認知症の症状がある人が日常生活を自発的に行動するための刺激を環境の中に用意するという環境調整やそれをもとに訓練するという発想を持ちにくいのですが、環境調整をして訓練をすることで、日常生活場面の自発性が向上して、訓練後も自発性が維持するのです。
その人の能力や住環境によって、その環境調整は個別的になるのですが、簡単な取り組みを一つ紹介します。
①まず日常生活の営みのなかで自発的に行動してもらいたい目標行動を一つ決めてください。
例えば、「月曜日・金曜日のデイサービスの日に、迎えのバスがくるまでに『着替え』をする」と目標を決めます。
②「着替え」をする行動の自発性の観察をします。
・自発的に着替えの準備を開始するか
・着替えのありかを見つけられるか
・着替えを揃えられるか
・今着ている衣類を脱ぐことができるか
・着替え用の衣類を着ることができるか
月曜日・金曜日に、9時30分にデイサービスのバスが迎えにくる場合、8時から観察して30分経過しても着替えない場合は、着替えを促す。
③着替える時間や衣類の置場所等を示したチェックリストを本人が認識する場所に貼る
例)
・月曜日と金曜日はデイサービス
・テレビで日にちと曜日を確認したらカレンダーに○を書く
・8時になったら腕時計が鳴ったら「着替える」
・上着はタンスの「上着」のシールが貼っている引き出しにある
・ズボンはタンスの「ズボン」のシール貼っている引き出しにあるにある
・靴はタンスの「靴」のシールにある貼っている引き出しにある
④腕時計(デジタル)を常にはめる。
8時にアラーム設定
ここまでが環境調整です。
次に実践介入です。
①朝起きたらノートにチェックリストを見せながら記入してもらう。
②行動が自発されない場合は「チェックリストを見て」や「ノート見て」と最小限のヒントでやるべき行動を促す。
※間違った行動をしたときは適切な行動へとプロンプトしてエラーレスさせます。
③行動ができたら「誉めことばやうなずき、そうです」等、社会的な強化刺激を与える。
プロンプトして適切な行動をしたときも強化刺激してください。
これを続けることで、記憶障害があっても行動パターンが身につきデイサービスの日以外にも朝起きたら「着替える」行動が自発されるようになります。
大切なのは、「認知症だから何もできない」と諦めるのではなく、環境調整をして取り組むことで行動は変わるんだ!! と知って頂き実践することなのです。