あなたたちが何故
そんなにも辛いのか

私にはわからない。


その一瞬一瞬を
生き延びるために 

ただ、誰かと話をして
気をまぎらわさなければ
居ても立ってもいられない。


その苦しみを
私には想像することも出来ない。



お腹がすいているのでも
寝る場所が無いわけでも無いけれど

存在することそのものが
辛いのだと

耳にはいる音も
目にはいる光も
肌に触れる服の感触さえ

辛くて苦しいと
あなたたちが言うのを

私はただ、聞いているしかない。


わかるのは、ただ、
あなたたちが
苦しいということだけ。


明日の朝日を浴びるまで
少しでも楽しく、
欠片でも自由を感じとれるように

ほんの一時、
受話器を通して
全力であなたたちを讃えよう。

一生懸命生きているね。
力一杯、大人になるために
たくさんの困難に立ち向かって。


生き延びる努力をしてくれて
ありがとう。

人生に待っているのは
辛いことだけではないから

必ず
生きていて良かったと
思うときが来るから

だから、その時まで
なんとしても生き延びてほしい。



その、
せつなの
光を感じとれるようになるまで。

一瞬の
とても些細で軽い
でも、光に満ちた時間に

私たちはいつも
取り囲まれているのだと

気づくまで。