「ちびくろサンボ」の「サンボ」と言う表現が差別的だと問題視された80年代後半。

 

ドミノ倒しのように次々と絶版になって行きました。

 

サンボ(Sambo又は Zambo)と言う言葉が黒人の蔑称であったり、黒人とインディオの混血を呼ぶ侮蔑的表現とされたためです。

 

僕自身、この対応に疑問を感じていたので、ニュージーランドで、たまたま立ち寄った本屋に置いてあった2冊を娘用に有り難く頂戴したのを思い出します。

 

 

 

(コンパクトサイズの非常に小さな絵本です。)

 

 

(当時、2歳になっていなかった長女が店員のご婦人に、カタツムリの絵を見て、「スネイル」と言って驚かれたのを思い出します。)

 

 

 

言葉が持つ差別性を問題にするあまり、すばらしい童話を人目に触れないように、封印を余儀なくさせてしまう。

 

こんな弾圧的な解決策は、どうなのでしょう?

 

巻末にでも、「当時は、こんな言い方が一般的でしたが、現在では、差別的表現として使用されていない。」などと注釈を付けて、負の歴史を孕む物語の内容をきちんと伝えた方が建設的なのに、と思っていました。

 

時は流れて…。

 

こんな現代版の焚書坑儒が解かれたのか、日本語版の再販も始まっていました。

 

 

 

(径書房から出された日本語版。より小さな掌サイズです。)

 

 

(並べて見ました。ヘレン・バナーマンの絵がニュージーランド版とは、少し違いが…。)

 

 

(サンボのポーズは、ほとんど同じように見えます。)

 

 

(3匹の虎がバターになって行く場面の挿絵です。)

 

 

 

気になって調べたところ、再販の理由には納得できませんでしたが、問題となった「サンボ」自体の差別性が揺らいでいるとの内容も知って…。

 

作者のヘレン・バナーマンがインド在住時に書いているので、チベット、ネパール、シッキムのシェルパ族の一般的な名前を使ったのではないかと。

 

ちなみに、シェルパ語では「サンボ」は、「優秀な」と言う意味になるとか。

 

まだまだ、議論は続きそうですが…。

 

ステレオタイプの報道に踊らされた自分自身の認識不足を反省した次第です。

 

 

次回は、ソウル・トレイン⑥~グラディス・ナイト&ザ・ピップス-夜汽車よ!ジョージアへ~です。

 

 

 

 

 

(おまけは、英国、J&Eセジュイック社のブライドルレザーを使った上野、万双のトートバッグ。デザインが気に入って、これを肩に掛けながら、秘書をしていました。)