総評78点(意識高い係数95%)
原題 Paterson
製作年 2016年
製作国 フランス=ドイツ=アメリカ
配給 ロングライド
上映時間 118分
(あらすじ)ニュージャージー州パターソン。街と同じ名前を持つバス運転手のパターソン(アダム・ドライバー)の1日は朝、隣に眠る妻ローラ(ゴルシフテ・ファラハニ)にキスをして始まる。いつものように仕事に向かい、決まったルートを走り、フロントガラス越しに通りを眺め、乗客の会話に耳を澄ます。乗務をこなすなか、心に浮かぶ詩を秘密のノートに書きとめていくパターソン。一方、ユニークな感性の持ち主であるローラは、料理やインテリアに日々趣向を凝らしている。帰宅後、パターソンは妻と夕食をとり、愛犬マーヴィンと夜の散歩、いつものバーへ立ち寄り、1杯だけ飲んで帰宅。そしてローラの隣で眠りにつく。そんな一見代わり映えのしない日常。だがパターソンにとってそれは美しさと愛しさに溢れた、かけがえのない日々なのであった……。(以上Movie Walkerより抜粋)
おい、このあらすじ、内容全部言ってねえか?
日常、「アクションがない映画なんか映画じゃねえ」的なことを言って憚らない僕にとって、ジム・ジャームッシュ監督作なんていう「意識高い系」の代表格(失礼)みたいな映画は、そりゃもう鑑賞に至るハードルが高いんですが、やっぱり代表格だけあって「観とかないと話題についてけないんじゃないか」と勝手に受ける脅迫観念も一級品で、散々渋った挙句結局なんだかんだいって『ミステリートレイン』(1989)あたりから、数年おきに公開される作品全部劇場で観てるというね・・・。
で、観た結果、そのたびに「こういうのも嫌いじゃないな。」と思うんだけど、繰り返しは観ないもんだから数年たつと内容ほとんど忘れちゃうわけです。
だから、このレビューも昨日観たんで今日あわてて書いてます。お気づきの通り、現時点(2018年2月14日)で劇場公開はとっくに終わっとるわけすが、職場の近くの名画座飯田橋ギンレイホールで『ベイビードライバー』との二本立てで上映されてましたので、仕事帰りにおっとり刀で観て参りました。客席はお年を召した方中心にほぼ埋まってましたね。最近の大手シネコンは、劇場外で購入した飲食物の持ち込みに厳しいですが、ギンレイホールはそんなことないので、上映までの幕間、おじいちゃんおばあちゃんが持参のおにぎりモグモグしながらお喋りしてるのを、「昔は良かったなあ」的な生温かい目で見てたんですが、映画が始まるとこの爺さん達がまあ、でかい声で散々欠伸をするわけです。
あのなあ、爺さん婆さん、言っとくぞ。映画館の上映中、リアクションとして多少大きい声で笑ったり、鼻水たらしながらすすり泣いたりするのはOKだ。だが、周りの人間に聞こえるような欠伸すんのは絶対ダメだからな。老後のありあまる余暇を映画館で過ごすのなら、欠伸を噛み殺すスキルは必須だ。約束だぜ?
内容と関係ない話ばかりしていまいましたが、映画のストーリーは上に転載したあらすじに書いてあるまんまで、非常に淡々としていて、鑑賞のスタイルとしてはこちらから積極的に内容を「お迎え」にいかないと下手をすると退屈と受け取られてしまいがちの種類の映画です。欠伸が出る気持ちも判らなくはないです。
ただ、ジャームッシュ監督作は、だいたいいつも何気ない日常の繰り返し、そのループの中の微細な変化をこそ楽しむつくりで、端的に言うとこの映画のメインテーマである「詩」、それも決まった型を持たない「散文詩」をまんま映像化したような作品が多いわけです。よって「詩」を楽しむような、心に余裕がある状態での鑑賞が推奨されます。
かくいう筆者は「詩」の素養には自信がありませんが、醸し出される「異国の街の空気感」がとても好みで、鑑賞後ニュージャージー州パターソンを旅していたかのような気さえしました。特に気に入った演出は、主人公がバスを運転しながら、客の無駄話に耳をかたむけてるところで、挿入される車窓からの眺めのカットや、アダム・ドライバーの繊細な顔の演技も相まって非常に印象的でしたね。
あと、フレンチブルドッグのマーヴィン、いい味だしてましたね。
↑普段はいい子のワンちゃんなんですが、毎晩散歩中にバーの前で待ちぼうけを食わされる恨みか、物語のクライマックスに、悪い意味で活躍してしまいます。
犬がしでかしたあまりのことに黙り込んでしまったパターソン(アダム・ドライバー)に、一瞬
↑この場面を思い出して「マーヴィン、逃げて!」と思ったのは完全に余談です。
奥さんが美人過ぎる点や、ラストに登場する永瀬正敏の台詞が(意図したものでしょうが)都合が良すぎるところとか、気にならない点がないわけじゃないですが、総じて「やっぱり観に行って良かったな」と思える、美しい映画でした。
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