総評78点(フィギュア欲しい指数95%)

原題    BLACK PANTHER
製作年    2018年
製作国    アメリカ
配給    ウォルト・ディズニー・ジャパン
上映時間    135分

(あらすじ)アフリカの秘境にある超文明国家ワカンダは、すべてを破壊してしまうほどのパワーを秘めた希少鉱石・ヴィブラニウムの産出地だった。歴代のワカンダの王はこの鉱石が悪の手に渡らないよう国の秘密を守り、一方でヴィブラニウムを研究し、最先端のテクノロジーを生み出しながら、世界中にスパイを放つことで社会情勢を探り、ワカンダを世界から守っていた。国王であった父ティ・チャカを亡くした若きティ・チャラ(チャドウィック・ボーズマン)は即位の儀式に臨み、すべての挑戦者を降伏させる。儀式を終えた彼は国王にして国の守護者・ブラックパンサーに即位するが、まだ王となる心構えを持てず、昔の婚約者ナキア(ルピタ・ニョンゴ)への思いも断ち切れず、代々受け継がれた掟と父の意志の間で葛藤する。そのころ、ワカンダを狙う謎の男エリック・キルモンガー(マイケル・B・ジョーダン)は武器商人のユリシーズ・クロウ(アンディ・サーキス)と手を組み、行動を始める。二人は大英博物館からヴィブラニウム製の武器を盗み、取引の目的にワカンダへの潜入を企てる。ティ・チャラはワカンダと世界を守ることができるのか?(以上Movie Walker より抜粋して部分省略)

 

正直な感想は「物足りねえ!」の一言に尽きます。

『最後のジェダイ』の異様に高い批評家レーティングの件がなくとも、海外レビューサイトの得点は眉毛に唾をべったりつけて受け止めなければならないと判ってはいたはずでしたが、それにしても期待の方が大きかったのか、鑑賞を終えた今、消化不良の感がぬぐえません。ちなみに僕は25年近くマーベルコミックスのファンをやっていますので、リテラシーの部分では問題ないどころか、逆にその沢山ありすぎる無駄知識が邪魔をして今回の感想に至っている可能性もありますので、それを踏まえて以下をお読みください。まだ鑑賞後一日しか経過していないので、整理しきれていませんが、不満に感じた点を列挙していきます。

 

まず、この手の映画で絶対にハズしてはならないポイント、アクションについて、です。『ブラックパンサー』にもアクション的にそこそこかっこいいシーンは登場します。しかし、その悉くが、予告編などに事前映像で既に公開済みのものであったという点はいかがなものでしょうか。爆風を利用してビルを駆けあがるシーン、走行する車の前輪に手を突っ込んで止めるシーン、三国無双よろしく大ジャンプからの着地衝撃で敵の集団を吹っ飛ばすシーン、全部観たことありますよね。「ネタバレが嫌なら予告編見なければいいのに」なんて言いぐさは、今作みたいにTV劇場問わず大キャンペーンを張ってティーザーを流しまくってる映画では通らないです。あれしかないなら隠しとけよな。そのほかの格闘シーンや、集団戦闘シーンはというと、これが非常に凡庸で、印象に残らないのものばかり。ルッソ兄弟や、マシュー・ヴォーン(キングスマン)らのキレキレのアクション演出に目が慣れてしまってる分、『ブラックパンサー』のアクションシーンは退屈を感じる部分が多かったです。肉弾戦を得意とするヒーローの映画としては、平均点というのは決して及第点ではありません。

 

↑見どころの全てがつまってしまっています(涙)

 

ストーリについては、見る前から「ライオンキング」みたいな話になるんじゃないかな・・・。と想像していましたが、まあ、その通りでした。でもそれはいいんです、王道のストーリーには王道たる魅力がちゃんとありディテールさえ異なれば、新しくて面白い物語として受け止めることはできます。実際、今作のストーリーは、エリック・キルモンガーというなかなか複雑なヴィランを配置することにより、多層的かつ魅力的に仕上がっていたと思いますし、プロットにも大きな破綻は見られなかったです。

 

ただ、ですねもっと掘り下げたほうが良い場面がちょいちょい欠落しているせいで、結局なんだか全部ひっくるめて「単純な話だな」という印象に結局なってしまっています。具体的に言うと、大きく二つ、まず本作の陰の主人公といっていいエリック・キルモンガーについて。彼が父親を失い、成人して立派な殺し屋として名を馳せるまでの描写が少なすぎます。おそらくは父親が遺した日記?のようなものを読んで、自らのルーツや博物館に展示してあるヴィブラニウムの所在を知っていたってところまでは納得してもいいですが、彼がいかにして「強く」なったのか、体にびっしりと刻まれた撃墜数ならぬ殺した人間の数はいかにその数を増やしていったのか、彼が全てを犠牲にしてでも実現したかったこととは何か、父親が国を裏切ってでも実現したかった世界平和?現在の世界の力関係の逆転を望むなら、虐げられている状態の幼少時の描写、彼が観る歪んだ世界の構図が短いカットでいいんで必要でした。「ヴィブラニウムさえあれば・・・!」エリックが決定的にそう思い込むきっかけが描かれていてほしかったです。

 

もう一つは、主人公テイチャラの敗北からの復活、勝利への説明がやっぱり不足しています。そもそもテイチャラは正々堂々とした舞台で、エリックに一度敗北しています。そこから程なくして復活、同条件で再戦、勝利というからにはそれなりの理屈が必要です。理屈というと難しそうですが、要は「テイチャラがキルモンガーを凌駕する理由」ですね。それが、ヴィブラニウムを不活性化する線路のシステムを利用したという地の利だけでは、説得力も物語的なカタルシスも足りません。地の利の話でいうと最後の戦闘がやけに長いせいで、キルモンガーがその条件に気付いてしまっているような描写もありますしね。また、滝から落下したテイチャラが、次に登場する場面がエムバクの医療室というのもね。ライバルのエムバクをああいう美味しい出し方するなら、滝つぼから(もしくは下流から)助けた場面、エムバクが葛藤を乗り越えてテイチャラを王として認め保護する場面、それぞれが必要だったと思います。どれも想像で補えなくはないですが、なぜ必要かあえて言えば、そこが映画的に良いシーンに成り得たから、です。みすみす英雄譚として「アガる」機会を逃している感じが惜しかったです。

 

一個目のポストクレジットシーンの演説も、反トランプ大統領派の声明そのもののような、映画の帰着としては首を傾げざるを得ません。キルモンガーのお父さんが正しくて、ワカンダの伝統が間違っていた、そんな話でいいんですかね?それともMCU次作の『アベンジャーズ:インフィニティーウォー』でサノスが襲ってくるので、世界中に対抗しうる強力な兵器を配布しておかないと困る理由でもあるんでしょうか。

 

ほとんどを黒人で固めたキャストについては新進気鋭の若手と、フォレスト・ウィテカーに代表される芸達者のハイブリッドで当然水準以上の安定感のある演技を楽しむことができました。また美術や特殊効果も、MCUですから、そりゃそんじょそこらの映画のレベルではないことは言わずもがな、この二点をもって『ブラックパンサー』は平均以上の作品であるということjは断言できます。あくまでプラスアルファが足りなかった、というだけの話ですね。

 

総じて同じMCU作品群を並べた時にどのくらいの面白さかというと、

『ドクター・ストレンジ』と同じくらい

です。題材として、化ける要素が沢山あっただけにやや、残念でした。

 

米ハズブロの社長が、『ブラックパンサー』はオモチャが売れる作品だ!と意気込んでるらしいですね。その発言を公にすることになんかメリットがあるとは思えないのですが、下に僕がおめおめと購入してしまった(後悔してるわけじゃないですけど)ブラックパンサー関連商品を挙げておきます。(まんまと戦略にハマってるじゃねえかよ)

 

↓国内版が発売されたばかり。今なら定価で買えます。

↓予約しました。LEDライトあてると光るらしいです。楽しみ。

↓本作の原作にあたるコミックです。

↓シビルウォー版のスーツ。本作でシュリちゃんに馬鹿にされていましたね。

↓これをテイチャラが着る可能性もあったとなると、無視できないので予約しました。