沙織里の娘・美羽が突然いなくなった
懸命な捜索も虚しく3カ月が過ぎ、沙織里は世間の関心が薄れていくことに焦りを感じていた
夫の豊とは事件に対する温度差からケンカが絶えず
唯一取材を続けてくれる地元テレビ局の記者・砂田を頼る日々
そんな中、沙織里が娘の失踪時に音楽ライブに行っていたことが知られ、ネット上で育児放棄だと誹謗中傷の標的になってしまう
世間の好奇の目にさらされ続けたことで沙織里の言動は次第に過剰になり、いつしかメディアが求める“悲劇の母”を演じるように
一方、砂田は視聴率獲得を狙う局上層部の意向により

沙織里や彼女の弟・圭吾に対する世間の関心を煽るような取材を命じられてしまう…


幼女失踪事件を軸に、失ってしまった大切なものを取り戻していく人々の姿を

吉田恵輔監督が、リアルかつ繊細に描き出す


2時間を切る尺なんですが

いろいろな要素が盛り込まれながらも、全く道を見失わずにこの事件の顛末を描いていきます


努めて冷静であり続けようとする夫・豊を演じる青木崇高さんや

スクープを連発する後輩に明らかに焦りを感じつつも、夫妻に寄り添おうとする地方テレビ局の記者・砂田役の中村倫也さんに

どうしても観る側は感情移入してしまいがちなんですが

やはり、エキセントリックな妻・沙織里役の石原さとみさんを誉めないわけにはいかないでしょう


これまで石原さんは『シン・ゴジラ』等、演じるキャラがどうしても評価してもらえない役が続き

砂田のように、明らかに焦りがあったと思います


満を持して臨んだ今回の妻・沙織里役も
観客から見て、感情移入出来るかも含め
非常に危ういラインではあるのですが
今回は、彼女の演技力を素直に評価してあげて良いのではないでしょうか

重い内容で、観る者をがんじがらめにして放してくれない作品ですが

吉田恵輔監督の力作、映画ファンは必見だと思います

[私の評価 ☆☆☆☆(5つが最高)]